家から出られなかった4年前の春 『あつ森』が大ブームになった理由を読み解く
『あつ森』はコミュニケーションの新天地として選ばれた

「2020年は世界的にゲーム市場が拡大した」というのは上述の通りです。巣ごもり需要の影響でビデオゲーム全体の売上が伸びたのは事実であり、『あつ森』もそうした時勢の最中で好調な売れ行きを見せました。
ただし、『あつ森』ヒットの理由を語るなら、「家から出られずに暇だからゲームでしのいだ」という分析だけでは不十分です。外出規制によって人びとが気軽に触れ合うことができなくなったコロナ禍において、『あつ森』は新たなコミュニケーションツールとして十二分に真価を発揮しました。
『あつ森』は最大8人までのオンラインプレイに対応しており、フレンドを島に招待して自由に交流を楽しむことができます。例えば友達を呼んで自分が作った島を案内したり、自宅に招いてルームツアーをしたり、家具の交換会を開いてみたり。ひと息入れてから、虫取りや釣りで勝負してもいいですし、島全体を使った鬼ごっこ大会を企画してみるのも面白そうです。オンラインプレイは基本的に何をするのも自由で、いい換えるならば「友達の家に集まって一緒に過ごす」イメージが近いかもしれません。
特に目的が決まっていなくても、気心の知れた友人や家族と同じゲームで遊び、同じ空間で共通体験を重ねるだけでも人の心は温まるものです。大手メディアのニューヨーク・タイムズやウォール・ストリート・ジャーナルは『あつ森』に対し、「安らぎを提供している」「隔離生活の癒やし」と言及していました。まさしくその通りで、当時は電話やチャットのみで連絡を済ませるのではなく、誰かの島に集まり、(ゲーム内で)肩を並べて、近況報告をし合うといった光景が数多く見られました。
発売後も、コンテンツ追加を伴うアップデートが数回にわたって行われ、現時点では海水浴や島民たちの別荘作りを手伝う「ハッピーホームパラダイス」などの新要素が実装されています。久しく『あつ森』をのぞいていない方は、この機会に島へ降り立ち、あの頃のスローライフに思いをはせてみてはいかがでしょうか。
(龍田優貴)

