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1970年代ヒーローの「退場エンド」には時代の影響も? 多様化した現代の「結末」に思うこと

1970年代のヒーローたちのほとんどが、最終回で去っていくという展開です。そのなかには敵を道連れにして、永遠の別れを告げる者も大勢いました。どうして、そんな展開が多くあったのでしょうか。

1970年代のヒーロー作品に多い展開とは?

ラスボスを道連れに彗星に突っ込み、地球を救ったジャイアントロボが描かれる、『ジャイアントロボ VOL.2<完>』DVD(東映) (C)光プロ・東映
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 1970年代、まだアニメも特撮もまとめて子供向けの「TVマンガ」と呼ばれていた時代がありました。その物語の結末を見ていくと、現代ではあまり見られない影響を感じ取ることができます。

 その当時子供だった筆者は、マンガはもちろん、そういったTVの影響を強く受けていました。誰しもそういった経験はあるのではないでしょうか。「三つ子の魂百まで」ということわざがあるくらいですから、子供の時の影響は大人になっても強く残っているものです。

 それで昔の作品を現在の視点から振り返って見ると、子供の頃には気づかなかったことにも気づくことがありました。

 あくまでも子供の時の筆者のイメージですが、最終回でヒーローは去っていくもの。……というイメージが強く残っています。もちろん、そうでないヒーローも多くいますが、筆者の心にはそんなイメージがありました。

 そうして調べていくと、「ウルトラマン」シリーズは最終回の別れが定番ですし、「仮面ライダー」シリーズも最終回ラストは別れのシーンとなっていました。逆に近年の作品はというと、いつもと変わらない日常に戻るパターンが多くなっています。

 これにはさまざまな事情が考えられるでしょう。若い方にはわからないかもしれませんが、別れの定番シーンでパロディも多かった映画『シェーン』の名セリフ「シェーン!! カムバック!!」も強く影響しているかもしれません。当時の誰もが知る定番みたいなものだったと思います。

 こうして去っていくヒーローに別れを告げるというのは、1970年代くらいまでの鉄板の感動シーンでしょうか。もっとも、そのなかには感動を通り越し、単なる別れでなく永遠にいなくなってしまうという展開を迎えたヒーローたちもいました。

 特撮作品でいうと、『ジャイアントロボ』『快傑ライオン丸』『宇宙鉄人キョーダイン』『大鉄人17』といった作品を思い浮かべる人も多いことでしょう。自らを犠牲にすることで巨大な悪を滅ぼすという展開でした。

 どうしてヒーローたちは散っていってしまったのでしょうか。それには1970年代らしい理由があったのです。当時、子供だった筆者にはわかりませんでしたが、大人になることで時代が大きく影響したことを知りました。

【画像】「いま思い出しても切ない」これが「特攻エンド」で去っていった70年代ヒーローたちです(5枚)

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加々美利治

TVマンガ研究家。おもにトレーディングカードやシールといったアイテム関係のテキスト制作に携わる。21世紀以降は東映アニメーションやバンダイナムコのwebサイトでのライティングを請け負う。近年はネット記事執筆へと軸足を移す。