マグミクス | manga * anime * game

ネット配信から1か月で「劇場上映」、グッズも即完売… 『超かぐや姫!』に押し寄せた「熱狂」の正体とは?

オリジナルのアニメ映画『超かぐや姫!』は、Netflixでの配信からわずか1か月ほどで劇場公開されました。その熱狂を生み出した要因を探ります。

座席着席率は96%超! 映画館では長蛇の列も

Netflixアニメーション映画『超かぐや姫!』場面カット (C)コロリド・ツインエンジンパートナーズ
Netflixアニメーション映画『超かぐや姫!』場面カット (C)コロリド・ツインエンジンパートナーズ

 2026年、映画『超かぐや姫!』が大きな熱狂を巻き起こしています。Netflixのオリジナルアニメーション作品として2026年1月22日から独占配信され、配信開始から1か月ほどたった2月20日から1週間限定で劇場公開されました。わずか19館での限定上映でしたが、各劇場の予約サイトはパンクし、座席が売れ、劇場入場特典やグッズなどは公開初日の昼頃までになくなるなど、社会現象級のムーブメントとなっています。

 特に、作品の舞台となった立川市にあり、制作陣によって監修された「極上音響上映」を行う「立川シネマシティ シネマ・ツー」は、チケットの予約開始直後から全時間帯が満席に。ほかにも多くの劇場で同様の状態が発生し、チケットのネット購入画面で「4万人以上」が待機状態となっているところも。SNSでは劇場前にできた長蛇の列や、空になったグッズ棚の写真があいついで投稿されました。

『超かぐや姫!』は、日本最古の物語といわれる竹取物語を、2030年の近未来を舞台に大胆に再構築した作品です。古典文学に2000年代後半以降のボーカロイドや近年のライバー、VR、ゲームストリーミングなどインターネットカルチャーを詰め込んだ意欲作であり、監督は『チェンソーマン』や『呪術廻戦』などのオープニング映像を手がけた山下清悟さんが務めています。

 制作は、本作と同様にNetflixと劇場での展開をしてきた『泣きたい私は猫をかぶる』『雨を告げる漂流団地』などを手がけてきたスタジオコロリド、そして山下監督が率いるスタジオクロマトです。

 本作が、今回のようなすさまじい熱狂を生み出した理由は何でしょうか。繊細でかわいらしいキャラクターが縦横無尽に活躍する映像や、ボカロ世代を刺激する楽曲、現代的なワードセンスやコメディ演出など作中の要素も大変魅力的ですが、今回、注目したいのは、製作としてクレジットされている(スタジオコロリドの親会社である)「ツインエンジン」によるプロデュース力です。

作品の「配信前」から大バズリ? ツインエンジンが仕掛けた「爆発的宣伝力」

巧みな宣伝で「主題歌」のヒットを導き出した、TVアニメ『しかのこのこのここしたんたん』ビジュアル (C)おしおしお・講談社/日野南高校シカ部
巧みな宣伝で「主題歌」のヒットを導き出した、TVアニメ『しかのこのこのここしたんたん』ビジュアル (C)おしおしお・講談社/日野南高校シカ部

 ツインエンジンの最近の製作/企画の作品を見てみると2024年放送のTVアニメ『しかのこのこのここしたんたん』の名前があります。同作の主題歌「シカ色デイズ」は、TikTokやYouTubeショートなどを通じてアニメファンの枠組みを超えたヒットソングとなりました。そこで宣伝を務めていたのが、『超かぐや姫!』で宣伝プロデューサーを務めた橋本実咲さんです。

『超かぐや姫!』では、『しかのこ』で培われたバズを生み出す宣伝手法が十二分に発揮されたのではないでしょうか。

 事前にさまざまな映像などを公開していたおかげで、『超かぐや姫!』は配信10日前の1月12日時点でXのフォロワー数が6.3万人となり、YouTubeのショート動画の特報は250万再生を突破、100万再生突破した動画も3本と、独占配信のオリジナルアニメにはあまり見られないペースで拡散されていきました。ちなみに「100万再生」突破動画は、2月23日時点では23本と、配信前の7倍以上に数字を伸ばしています。

今後も「配信 → 劇場公開」のケースが増える?

 Netflix作品は基本的に配信で完結しますが、『超かぐや姫!』は視聴者から「映画館で観たい」という声が相次いだ結果、Netflixと配給側が劇場公開を決断しました。いわばファンの熱狂が後押しした劇場展開だったのです。

 今回の劇場公開は緊急決定だったこともあり、上映館が少なく、座席が売り切れる劇場が続出しました。ただ、特殊なケースだったこともあり面白いことがわかりました。劇場鑑賞が初見の人もいれば、Netflixで視聴済みだが、劇場で改めて観たという人もSNSではかなり見られたのです。

 多くのユーザーはサブスクでいつでも視聴できる環境にあっても、よい作品にはサブスクの「月額料金」以上を支払ってでも、より良い視聴環境、すなわち映画館に足を運ぶことが証明されたといえるでしょう。

 また、この流れは昨年配信された韓国発の『K-POPガールズ!デーモン・ハンター』が配信から全米劇場公開での大ヒット、そしてアニー賞受賞、アカデミー賞ノミネートにまで発展したのと同じ流れにあると感じられます。従来の「劇場公開→配信」という順序を逆転させるという興味深い事例であり、新たな映像ビジネスの形となるかもしれません。

 そうなると重要になってくるのは、「まず配信で観てもらうこと」です。そのために、プロモーションに力を入れた作品が今後増えてくるのではないでしょうか。

『超かぐや姫!』公開直後からの大盛況を受けて、公開3日目にして一部劇場での上映期間延長や、上映館の追加も決定しています。VR空間でのイベントを実施するためのクラウドファンディングも開始わずか1時間で達成し、まだまだ熱狂は続いていきそうです。今後、多くのファンを魅了した本作の世界観がどのように展開され、そしてプロデュースされていくか、大いに注目していきたいと思います。

(文・しょう 編集・はるのおと)

【画像】「えっ、ウソだろ(笑)」 これが、『超かぐや姫!』チケット購入の「とんでもない光景」です(5枚)

画像ギャラリー

編集部おすすめ記事

アニメ最新記事

アニメの記事をもっと見る