故・高橋和希先生が描いた『遊☆戯☆王』は何がすごいのか 日本経済にも影響?
TCGを一大コンテンツにまで育てた『遊☆戯☆王』

発売から半年も経たないうちに『デュエルモンスターズ』は売り切れが続出するほどのセールスを記録します。ただし、発売当初はまだゲームシステムが完成しているとは言えず、今の環境を知る人にはありえないと思えるルールがいくつもありました。
生け贄召喚なしにレベルの高い上級モンスターを召喚できる。手札枚数の上限がない。公式にアンティルールと思われるものが存在していた。……などです。いずれもTCG黎明期だからこそあった話です。
こういったようにTCGがブームとなったことでいくつかの問題も起きました。露天商などによるニセカードも大きな問題になったこともあります。古くはビックリマンシールなどでもありましたが、紙モノの商品は印刷によりコピーがしやすく、一時期は大量に出回りました。
この打開策として、メーカー側はホロ印刷による偽造防止などの策を取ります。一方、販売形態としてカードショップと呼ばれる店舗が急速に増えたのもこの頃でした。この店舗が出来たことのメリットのひとつが、こういったコピー商品の淘汰になります。子供には見分けがつかない商品も、専門家が見れば一目瞭然。こうしてカードショップの普及は、同時に粗悪なコピー品の撲滅につながったわけです。
また、こういったカードショップのほとんどがデュエルルームと呼ばれる遊戯場所を常設しました。これにより急速にTCGで遊ぶ人口が増え、この時期はさまざまなTCGが発売される戦国時代の様相となります。
そして、リスタートする形で『遊☆戯☆王』は2度目のTVアニメ化がなされることになりました。それが現在までシリーズとしてつながることになる『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』(2000年4月18日~2004年9月29日)です。
この2度目のアニメ化でTCGも安定した人気をキープしました。こういった手法がTCGコンテンツのひとつの形となり、後続のTCG作品の多くはアニメとの同時進行でカードの販売を促進するといった方法を取ることが多くなります。
そういった意味で『遊☆戯☆王』はTCGをブームからコンテンツに押し上げただけでなく、ビジネスモデルとしても以降の商品、企業に多大な影響を与えたと言えるでしょう。そして、販売は日本国内だけにとどまらず、世界中で各言語版が発売されているのですから、影響力は世界規模だと言えるかもしれません。
2009年7月7日には、ギネス・ワールド・レコーズに「世界で最も販売枚数の多いトレーディングカードゲーム」として認定、さらに2011年6月14日には記録を自己更新し、販売枚数も251億7000万枚を突破しているそうです。現在はそれ以上の数値となっていることでしょう。
一説にはTCGの寿命は数年。人気作でも10年程度と言われている世界で、『遊☆戯☆王』は今年で23年になります。始祖にして頂点。その人気をいまだに維持している『遊☆戯☆王』は稀有な作品だと言えるでしょう。
玩具業界の売り上げでTCGの占める割合はもっとも大きいと言われているそうですが、カードショップの普及やカードゲーム人口の増加など、副次的なものも考えた時、『遊☆戯☆王』の果たした役割は大きく、間違いなく日本経済を変えた作品と言えるかもしれません。その功績は単なるマンガのヒット以上のものだったと言えます。
(加々美利治)






