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映画『地獄少女』白石晃士監督が語る、恐怖の源泉 「あると信じれば、それは実在する」

伝説の「フェイクドキュメンタリー」

自身が影響を受けたマンガ作品を語る、白石晃士監督(マグミクス編集部撮影)
自身が影響を受けたマンガ作品を語る、白石晃士監督(マグミクス編集部撮影)

――『地獄少女』はTVアニメが原作ですが、白石監督自身はどんなマンガやアニメを観てきたのでしょうか?

 アニメは、最近だと『魔法少女まどか☆マギカ』『新世紀エヴァンゲリオン』とったメジャー作品くらいかな。子供の頃は富野由悠季監督の『機動戦士ガンダム』や『伝説巨神イデオン』にハマっていました。クライマックスに向かって、どうしようもなくキャラクターたちが死に向かっていく感じとかは、影響を受けているかもしれません。ベタですけど、『あしたのジョー』も好きでした。

――『あしたのジョー』も主人公たちが死に向かって突き進む物語でしたね。アニメではありませんが、白石監督が少年期を過ごした1970年代~80年代は「川口浩探検隊」や「矢追純一UFO特番」といった、フィクションかドキュメンタリーかが分からないテレビ番組も人気でした。

 大好きでよく見ていました。小学生くらいのときは、本気で信じていて、探検隊が見つける珍獣や秘境は本当に存在するものと思っていました。だんだん年齢を重ねるうちに、「あの双頭の蛇は仕込みだよ」とか友達に説明するようになっていきましたね。でも、フィクションの世界であっても、見ている人が「実在する」と信じていると、本当にそれは存在することになるんです。

 自分が撮る映画も、お客さんが映画を観ている間は本当に起きていることなんだと信じ込めるような作品でありたいと思っています。どんなにバカバカしい内容のものでも、映画内では説得力のあるものにしたいんです。

――子供の頃に見たテレビ番組の影響は大きいようですね。ホラーマンガもお好きでしたか?

 楳図かずおさんや日野日出志さんの恐怖マンガは、子供のころによく読んでいました。中学くらいからは御茶漬海苔さんのホラーマンガに熱中しました。でも、田舎で暮らしていたこともあって、周囲に御茶漬海苔作品の面白さを語れる相手はいなかったです。御茶漬海苔さんのスプラッター的な要素は、映画的なニュアンスがあることをそのころから感じていたようです。

 もうひとり、大事な漫画家がいました。小学生のときに、諸星大二郎さんの『妖怪ハンター』の最初の単行本を買って繰り返し読みました。『妖怪ハンター』は今も大事に持っています。

【画像】『地獄少女』を追う工藤と、復讐に暗躍する仲間たち(9枚)

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