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映画『地獄少女』白石晃士監督が語る、恐怖の源泉 「あると信じれば、それは実在する」

想像もしなかったようなラストに観客を連れていきたい

玉城ティナ演じる閻魔あい(左)と、仲間の三藁(さんわら)
玉城ティナ演じる閻魔あい(左)と、仲間の三藁(さんわら)

ーー「コワすぎ!」の工藤ディレクターたちが怪奇現象の真相を探っていくという設定は、『妖怪ハンター』と通じるものがありますね。

 確かにそうですね。『妖怪ハンター』で描かれていた神道的なものが、自分の中ではホラー観の源流になっているんです。クトゥルフ神話的なものが僕の作品の根底になっているのも、諸星作品からの影響が大きいですね。夢枕獏さんの小説も好きで読んでいましたし、夢枕さんが書いたエッセイがきっかけで、谷口ジローさんのマンガをもう少し大人になってから読むようになりました。

『宮本から君へ』や『ザ・ワールド・イズ・マイン』の新井英樹さんも大好きな漫画家です。新井英樹チルドレンと呼んでいいくらいです。新井さんのマンガは、読み始めた当初には想像もしなかったようなラストが待ち構えている。僕が撮る映画も、誰も想像もできないようなラストシーンに観客を連れていくような作品にしたいですね。まったく想像しなかった結末が待っているという点では、永井豪さんのマンガもそうです。そのような作品から受けた影響はかなりありますね。

* * *

 諸星大二郎作品が持つ想像力の飛躍や新井英樹作品のキャラクターたちの暴走ぶりは、白石晃士監督の世界観に大きな影響を与えたようです。白石監督が諸星大二郎や新井英樹の「実写化不可能」とされている作品を映画化する日が、いつか訪れることを楽しみにしたいと思います。映画『地獄少女』にはクトゥルフ神話を思わせる描写もあり、鑑賞の楽しみどころのひとつとなるでしょう。

(長野辰次)

●白石晃士(しらいし・こうじ)
1976年福岡県生まれ。1997年に自主制作した『暴力人間』が注目を集め、「ほんとうにあった!呪いのビデオ」シリーズなどを手掛ける。2012年から始まったオリジナルビデオ「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」シリーズはヒット作となり、劇場公開作『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!史上最恐の劇場版』(2014年)も作られている。以後、『貞子vs伽椰子』(2016年)や『不能犯』(2018年)などの話題作を監督。『オカルト』(2009年)、『ある優しき殺人者の記録』(2014年)など、“フェイクドキュメンタリー”スタイルの作品でも人気を呼んでいる。

●映画『地獄少女』は2019年11月15日(金)より公開。
公式サイト:https://gaga.ne.jp/jigokushoujo-movie

(C)地獄少女プロジェクト/2019映画『地獄少女』製作委員会

【画像】『地獄少女』を追う工藤と、復讐に暗躍する仲間たち(9枚)

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