鳥山明さんが「ゲーム業界」に残した功績 『ドラクエ』×『FF』タッグ作も
鳥山明さんといえば、マンガ作品はもちろん、『ドラクエ』シリーズを思い出す人も多いことでしょう。ですが、ゲーム業界に限っても、その活躍は『ドラクエ』だけではありません。ゲーム史に残した鳥山さんの足跡を、振り返ってみましょう。
2大RPGのクリエイターが集結した、スーファミ時代の名作も

『Dr.スランプ』に『ドラゴンボール』と、大ヒット作を立て続けに生み出し、その後も数々の作品を意欲的に世に送り出した漫画家の鳥山明さんが、急性硬膜下血腫で亡くなりました。この訃報は、「ドラゴンボールオフィシャル」公式X(旧:Twitter)で明かされたもので、2024年3月1日に永眠されたとのことです。
鳥山さんが手がけたマンガ作品はもちろんのこと、アニメ化した映像作品も好評を博し、海外でも広く愛されました。マンガ史に残るその功績は、世界中のファンが知るところですが、鳥山さんの活躍は「ゲーム業界」にも及んでいます。
国民的RPG『ドラゴンクエスト』シリーズのキャラクターデザインが特に有名ですが、鳥山さんが関わったゲーム作品は『ドラクエ』だけではありません。さまざまな作品を通してゲーム業界にも貢献した鳥山さんの活躍を3作品から振り返ります。
●夢の競演を実現させた『クロノ・トリガー』(1995年)
ファミコン・スーパーファミコンの時代に、RPGの一大ブームが巻き起こりました。その火付け役とも言える『ドラクエ』シリーズと、後発ながら頭角を現した『ファイナルファンタジー』シリーズが、競い合いながらゲーム業界を大いに盛り上げていきます。
そんなRPG黄金期の最中に生み出されたのが、スーパーファミコンソフト『クロノ・トリガー』です。中世風ファンタジーのRPGが主流だったなか、過去や未来を行き来するタイムトラベルを主軸に、SF要素も盛り込んだ意欲的な作品として大きな注目を集めました。
また本作は、メインキャラクターのデザインを務めた鳥山さんに加え、『ドラクエ』シリーズの中核的存在である堀井雄二さん、『FF』シリーズの生みの親・坂口博信さんも携わっています。
RPG黄金期の2大巨頭を生み出したクリエイター陣が結集し、まったく新しいRPGを作る。夢のような展開は、RPGファンの心を大きく揺さぶりました。ですがそれ以上に驚かされたのが、『クロノ・トリガー』の完成度でした。
シリーズの展開数自体は、『ドラクエ』や『FF』に及ばないものの、スーパーファミコン時代のRPGを語る上で、『クロノ・トリガー』の存在感はこの2シリーズと比べても引けを取りません。
『クロノ・トリガー』のパッケージを見るだけで、当時のプレイ体験が鮮やかに蘇る。そんなファンも多いことでしょう。