『エリア88』新谷かおる氏が語る、愛すべき航空機たち 「原点は松本零士氏のスタジオに」
山ほど描いた飛行機マンガ。機体の数はギネス級?

――「戦場ロマン・シリーズ」の連載デビューからおよそ40年にわたり描き続けた航空機を収録した『新谷かおる航空機グラフィティ』では、バラエティ豊かな航空機が誌面を飾り、その種類の多さに驚かされます。
新谷 40年もマンガを描いてきましたので、「塵も積もれば山となる」ということですね。
「戦場ロマン・シリーズ」に続いて、小学館の「週刊少年サンデー」増刊号で『ファントム無頼』(原作・史村 翔)の連載を、「少年ビッグコミック」で『エリア88』の連載を始めています。「戦場ロマン・シリーズ」では、松本零士先生の「戦場まんがシリーズ」とは異なる、自分なりの戦争の描き方を追求しました。
しかし『西遊記』の孫悟空ではありませんが、自分がまだ師匠の掌(てのひら)から抜け出せていないような気がしたんです。そこで挑んだのが、ジェット戦闘機を主役にした作品でした。「使いやすい機械を選ぶように、乗りたい飛行機に乗る。そんな世界があってもいいのではないか……」。そんな思いから、『エリア88』では数多くの航空機を登場させました。
エリア88に所属する傭兵のキャラクターに合わせて、それらしい搭乗機を用意しています。実際には整備などの問題があるため、これだけの機体が集まる基地はありませんが、エンターテインメントとして好きな世界を描かせてもらいました。自分で言うのもおかしいですが、これだけたくさんの飛行機を登場させたマンガ家は、他にはあまりいないと思います。レシプロ機からジェット機まであわせると、私がマンガに描いた機体の数はギネス級と言ってもいいかもしれない(笑)。
ただ、『エリア88』を描いた時代はまだまだ資料が乏しく、情報を集めるのに苦労しました。今のように、インターネットやDVDで航空機の姿を見られるわけではありません。とにかく軍用機は秘密のベールに覆われていますから、古書店で輸入書籍を探し求めるなど、手探りのなかで執筆していました。
その一方で、マンガでは事実に忠実に描くことが、必ずしも正解ではないという思いがあります。たとえば雨のなかで飛行機を飛ばした方が、パイロットが抱える心情を表現できる場面もある。描いた機種が全天候型ではなく、雨天の飛行に矛盾があったとしても、マンガの演出として有効なこともあると思うのです。今回、そういった私の思いを編集部が聞き取って「空のよもやま話」として画集に挿入しています。画集を楽しむ一助として、原画とともに楽しんで頂けると嬉しいです。
2021年には、航空自衛隊のF-4EJファントムIIが退役しました。私が描いた飛行機たちも、いつかは姿を消していきます。だけど私は、銀翼が放つ輝きを原稿用紙に描き留めておくことができた。「忘れないよ、お前たちのことを」。私のマンガを飾ってくれた飛行機たちに、そんな声をかけてあげたいです。
(取材・メモリーバンク)
※文中一部敬称略
(c)新谷かおる
●『新谷かおる航空機グラフィティ 著者が語るビジュアルガイド』(玄光社)
2023年7月28日発売予定、A4変型判、272ページ、全ページカラー印刷。本体4,500円+税
公式サイト:https://www.genkosha.co.jp/gmook/?p=31893
●『新谷かおるARTWORKS 戦闘機から美少女まで』刊行記念イベント
2023年7月15日(土)から8月31日(木)まで、東京・神保町の書店、書泉グランデと書泉オンラインショップにて、『新谷かおる航空機グラフィティ』(玄光社)刊行記念「新谷かおるフェア in 書泉グランデ 2023」が開催中。本画集の特別先行販売が実施され、購入者には先着で「書泉グランデ限定 新谷かおる先生特製クリアファイル」をプレゼント(先行販売、特典は無くなり次第終了)。
また、書泉グランデ店舗(東京都千代田区神田神保町1-3-2)では、新谷かおる氏が手掛けた同人誌などの関連書籍やグッズの販売のほか、高精細複製原画も展示販売(諸般の事情により変更の可能性がありますので、書店公式WEBサイトをご確認ください)。







