初代『ガンダム』最大の謎 マ・クベがホワイトベースにとどめを刺さずに引き返す?
『機動戦士ガンダム』でホワイトベース隊を苦しめたキャラクターのひとりが、マ・クベです。アッザムでガンダムを苦しめただけでなく、策を駆使してホワイトベースを撃沈寸前まで追い詰めましたが、なぜか傷ついたホワイトベースを放置して引き返していきました。この突然の引き返しは、「ガンダム」最大の謎と言ってもいいのではないでしょうか。
ホワイトベースを追い詰めた男、マ・クベ

『機動戦士ガンダム』でホワイトベース隊を苦しめた最強の敵とは誰でしょうか。シャア・アズナブル、ランバ・ラル、黒い三連星など、印象深い名前が次々と挙げられますが、なかでも特にホワイトベースとガンダムを追い詰めたのがマ・クベなのです。
連邦軍内部のスパイを使って情報を入手し、戦局が悪いとみれば水爆ミサイルを使用し、まともにはやりあえないと見れば罠を張る。パイロットと言うより策士としての側面が強いため印象には残りづらいのですが、ホワイトベースもガンダムも、それぞれがマ・クベによって撃破寸前まで追い込まれています。
ガンダムが撃墜されかけたのは18話「灼熱のアッザム・リーダー」です。機動砲座(後にMAに分類)アッザムにキシリア・ザビとともに搭乗したマ・クベは、最大4,000℃の高熱を発する特殊兵装「アッザム・リーダー」にガンダムをとらえ、あと一歩のところまで追い詰めましたが決定打を与えられず、反撃を受けて砲塔を破壊され脱出を余儀なくされました。
さらにホワイトベース最大の危機となったのが、22話「マ・クベ 包囲網を破れ!」です。21話「激闘は憎しみ深く」でホワイトベース隊はクラウレ・ハモン率いるランバ・ラル隊の残存部隊をかろうじて退けたものの、リュウ・ホセイをはじめとする多くの人員を失いました。アムロたちはシャワーを浴びる時間も取れずに働き詰め、ブライトは過労で倒れ、ミライが艦長代理を務める非常事態。そこにマ・クベが襲い掛かっていったのです。
マ・クベの作戦は周到でした。まずは低高度を飛行するホワイトベースにリフトジェットを着用した兵士を差し向け、爆弾でミノフスキー粒子の発射口と電波妨害を行なうためのECM発信機を破壊したのです。余談ですがこのシーンで緊張のあまりヘルメットの上から汗を拭おうとする兵士が登場しており、『ガンダム』のリアル感を際立たせています。
ミノフスキー粒子を放出できず、電波妨害もできなくなったホワイトベースは、敵の探知から逃れる手段を失いました。しかしホワイトベース側のレーダーはなぜか破壊されなかったのです。破壊できるはずのレーダーをあえて残す。これがマ・クベの作戦で最も重要なポイントだったのです。