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『ガンダム』のシャアは「サイコパス」? 不可解な行動の背景、時代を切り開く能力も

冷酷さが強調された『THE ORIGIN』のシャア

シャアはザビ家の御曹司であるガルマと親交を深めつつ、着実に復讐を進めていく。画像はBS12で木曜深夜に再放送中の『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星』 (C)創通・サンライズ
シャアはザビ家の御曹司であるガルマと親交を深めつつ、着実に復讐を進めていく。画像はBS12で木曜深夜に再放送中の『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星』 (C)創通・サンライズ

 犯罪サスペンス映画『羊たちの沈黙』(1991年)が世界中で大ヒットしたことから、サイコパス(反社会性パーソナリティ障害)という言葉は、広く知られるようになりました。ファーストガンダムこと『機動戦士ガンダム』がテレビ放送されたのは1979年からです。「サイコパス」という言葉がまだ一般化する前から、富野由悠季監督はシャア・アズナブルという非常に複雑な精神構造を持つキャラクターを造形していたことになります。

 安彦良和監督が手掛けるアニメシリーズ『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星』全13話が、2023年10月5日からBS12の毎週木曜の深夜2時枠「アニメ26」で放映されています。シャアの生い立ちから描かれ、シャアは士官学校に入学するために、そして自分の正体を隠すために、罪のない人たちを次々と巻き込み、死に追いやります。

 そのことに関して、シャアは良心の呵責をまるで感じていません。安彦監督はかなり意図的に、シャアがサイコパス気質の人間として冷酷に育っていく様子を描いているようです。こんな兄を持ってしまったセイラさんが不憫(ふびん)でなりません。

「サイコパス」が新時代を切り開いてきた?

 フィクションの世界の「サイコパス」は、『羊たちの沈黙』のレクター博士のような凶悪犯罪者のイメージがありますが、「サイコパス」は実在し、人口の1%以上は「サイコパス」が占めていると言われています。大企業のCEO、政治家、弁護士、外科医など重大な決断をする職業に就いている人に、サイコパシー傾向の高い人が多いそうです。

 中野氏は、アップル社の創設者スティーブ・ジョブズも天才的なプレゼンとネゴシエーションの才能を持つ一方、古い知り合いは次々と切り捨てたことから、「サイコパス」の性質と合致すると指摘しています。「サイコパス」は常識にとらわれず、リスクを負うことも気にしないため、新時代の開拓者となるケースが少なくありません。

 戦国時代の武将・織田信長なども、「サイコパス」だったのではないかという説がささやかれています。歴史はそうした人物たちによって、切り開かれてきた一面があるのかもしれません。

 シャアが「サイコパス」なのかどうかは、精神科医ではないので断定することはできません。それでも、やはりシャアの波乱に満ちた刺激的な生涯は、我々を魅了するものがあります。戦国時代と同様に「宇宙世紀」という動乱の時代だったからこそ、シャアのような危険を恐れないカリスマ性の持ち主が大いに活躍したのではないでしょうか。

(長野辰次)

【ヤバい】冷たい目つきにゾクゾクする? 『THE ORIGIN』のシャア・アズナブル(7枚)

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