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『あんぱん』やなせたかしも最初「冗談かと」 手塚治虫からいきなり電話で頼まれた「超重要」な仕事内容とは 

『あんぱん』113話では、手嶌治虫が嵩に、いきなり電話で仕事の依頼をしてきました。

やなせたかしさんも最初は信じられなかった依頼

手嶌治虫役の眞栄田郷敦さん(2020年2月、時事通信フォト)
手嶌治虫役の眞栄田郷敦さん(2020年2月、時事通信フォト)

 2025年前期の連続TV小説『あんぱん』は『アンパンマン』の作者、やなせたかしさんとその妻の暢(のぶ)さんがモデルの物語です。113話の終盤では、「柳井嵩(演:北村匠海)」のもとに天才漫画家「手嶌治虫(演:眞栄田郷敦)」から、「仕事の依頼」をしたいという電話がかかってきました。しかし、嵩はいたずらだと思い、「君、こういうことはもうやめたまえ」と電話を切ってしまいます。

 手嶌のモデルは、言わずと知れた「マンガの神様」手塚治虫さんです。嵩がコンクールに応募する『ボオ氏』を描いていたとき(やなせさんが同作を発表したのは1967年)、手嶌は手塚さんがライフワークとして描き続けた代表作『火の鳥』を執筆中でした。

 手塚さんも、1967年にやなせさんにいきなり電話で仕事を頼んできたそうです。その仕事とは、手塚さんが立ち上げたアニメ制作会社、虫プロダクションによる劇場アニメ『千夜一夜物語』(1969年公開)の、美術監督とキャラクターデザインでした(映画のクレジットでは「美術」)。

 やなせさんの自伝『人生なんて夢だけど』(フレーベル館)を引用すると、手塚さんは電話でいきなり

「あ~もしもし手塚です。今度日本ヘラルド(配給担当)と組んで長編アニメ(千夜一夜物語)をつくります。美術監督はみんなで相談して、やなせさんがいいということになりました。よろしく」

 と頼んできたといいます。

 やなせさんは、当時所属していた大人向けマンガを描く漫画家の団体「漫画集団」の集まりや旅行のおかげで、手塚さんとある程度面識はあったため、嵩のように電話を切ることはなくその場で依頼を引き受けました。ただ、手塚さんと自分では「(漫画家として)神様と毛虫、月とスッポン」ほど差があると考えていたやなせさんは、最初はただの冗談だと思っていたそうです。しかしその後、プロデューサーの富岡厚司さんから改めて依頼の電話があり、やなせさんは東京の富士見台にあった虫プロの制作現場に通うようになりました。

 別の自伝『アンパンマンの遺書』(岩波書店)によると、やなせさんは富岡プロデューサーから起用の理由について、「虫プロは鉄腕アトムのイメージが強く、スタッフも子供アニメのキャラクターに馴れているので、キャラクターは大人漫画の人に依頼しようというので、いろいろ人選した結果やなせさんに決定したんです」と言われたそうです。

『アラビアンナイト』が下敷きとなった『千夜一夜物語』で、やなせさんはフランスの名優ジャン・ポール・ベルモンドさんを意識した主人公「アルディン」ほか、さまざまなキャラクターを作り上げていきます。そのなかで、やなせさんは自分の「キャラクターをたくさん作る才能」に気付きました。

 さらに、『千夜一夜物語』が大ヒットしたおかげで、やなせさんは手塚さんのポケットマネーで代表作のひとつ『やさしいライオン』の短編アニメ映画(1970年公開)を制作し、第24回毎日映画コンクール・第8回大藤信郎賞、第12回児童福祉文化奨励賞を受賞しています。

 そのほか、やなせさんは手塚さんの天才的な仕事の早さを間近で見られたことや、徹夜続きの凄絶なアニメーション現場の過酷さを知れたことなども、貴重な体験だったと振り返っていました。『あんぱん』でも、『千夜一夜物語』のエピソードは重要になりそうです。

『あんぱん』114話では、手嶌が直接柳井家にやってくるようです。今度はどのように仕事を頼むのでしょうか。

(マグミクス編集部)

【画像】え…っ? 「朝ドラで映せるのかな」「パッケージで出ちゃってる」こちらがやなせさんが手塚さんと作った「オトナ向けすぎる映画」です

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