11月19日は「ケフカ」の誕生日。ラスボスなのに弱かった『FFVI』の名悪役
「ファイナルファンタジー」シリーズは個性的で記憶に残る悪役もたくさん生み出してきました。なかでも、6作目の最終ボス「ケフカ」は、滑稽さと残虐さをあわせもつピエロのようなキャラクター。のちのゲームにもゲスト参戦するなど、強烈な存在感を示しています。
滑稽なキャラクターだが、残虐行為を繰り返した

サーカスや大道芸で見かけるピエロといえば、真っ白い顔に赤い鼻が目を引くエンターテイナー。本来は善良な道化役として人びとを楽しませる存在ですが、「ジョーカー」(「バットマン」シリーズ)や「ペニー・ワイズ」(「IT」)など、作品によっては”恐怖の象徴”として描かれることもあります。張り付いた笑顔の裏から漂う狂気の匂いに、そこはかとない恐ろしさを感じた方も多いのではないでしょうか。
筆者にとって印象深いピエロは、1994年4月2日発売のスーパーファミコン用ソフト『ファイナルファンタジーVI』(以下、FFVI)に登場する「ケフカ=パラッツォ」(以下、ケフカ)です。幼稚さと残虐性をあわせ持ち、作中において強烈な存在感を放っていました。
ケフカは見た目こそ奇抜ですが、本当にピエロというわけではありません。彼はガストラ帝国に仕える魔導士であり、さまざまな手段を用いて何度もプレイヤーの行く手を阻んできます。物語序盤の時点で高位に就いており、なおかつ魔導士としての実力も本物。とはいえ、そのポジションは生まれついての才覚によって実現したのではなく、ガストラ帝国の技術力による人為的な産物に過ぎません。
ケフカは体内に魔導を注がれて強大な力を得たものの、未発達な実験技術の弊害を受けて人格が崩壊。「私は~」とかしこまった口調で語りかける場合もあれば、突然「ぼくちんが~」と幼児を思わせる口ぶりで喋りだすなど、言動の面から見ても精神に異常をきたしている様子が伺えます。
ギャグシーンだけ見ていれば何てことはない小悪党のケフカ。しかし、作中で彼の企てた行為は残虐非道なものが目立ちました。身を隠すティナをあぶり出す名目でフィガロ城に火を放ったのは序の口で、屋内にガストラ帝国の兵士がいるにも関わらず、水溶性の猛毒を飲料水に溶かしてドマ城の人びとを全滅させました。さらに物語を進めると、同じ任務にあたるレオ将軍、そして自身を重用していた帝国トップのガストラ皇帝までも手にかけます。
世界を手中に収めんと画策した結果、ついには三闘神の力を吸収することに成功。文字通り”神”となったケフカは、崩壊した世界で殺戮と破壊を繰り返す非情な存在へと変貌したのです。