80周年記念映画『トムとジェリー』ほか、アニメと実写を融合させたコメディ4選
アニメキャラに殺人容疑!?『ロジャー・ラビット』

実写とアニメーションを融合させたハイブリッド映画は、これまでにもユニークな作品がいろいろと作られてきました。なかでも多くの人が思い出すのは、『ロジャー・ラビット』(1988年)ではないでしょうか。スティーヴン・スピルバーグ製作総指揮&ロバート・ゼメギス監督という、大ヒットSF映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985年)のコンビ作です。
アニメのキャラと人間とが共存する不思議な世界が、『ロジャー・ラビット』では描かれます。アニメ界の人気俳優であるロジャー・ラビットが殺人罪で警察に追われ、私立探偵のエディ(ボブ・ホプキンス)が彼の冤罪を晴らすために事件の真相を追うことになります。人間の探偵が、アニメタウンの謎を探るという軽妙な設定です。
注目したいのは、出演キャラクターの豪華さです。ワーナーアニメではおなじみのバッグスバニーらに加え、ディズニーアニメのダンボやミッキーマウスといった人気キャラたちもスタジオの枠を越えて、続々とカメオ出演しています。
パラマウント映画で活躍した、セクシー女性キャラのベティ・ブープが半世紀ぶりにスクリーン復帰したことも話題となりました。米国アニメ好きには忘れられない作品となっています。
バスケの神さまが降臨…『スペース・ジャム』

NBAの伝説的プレイヤーであるマイケル・ジョーダンが本人役で出演。バッグスバニーら人気アニメキャラたちと、バスケットボールのドリームチームを結成するのが『スペース・ジャム』(1996年)です。人間ばなれした“バスケの神さま”マイケル・ジョーダンだけに、アニメキャラたちとの共演もあまり違和感がありません。
宇宙人が建設した宇宙遊園地が不人気なため、宇宙人は地球の子供たちに人気のバッグスバニーたちを拉致し、遊園地で働かせようとします。そこでバッグスバニーは、バスケットボールで対決することに。マイケル・ジョーダンは助っ人として呼び出されます。
一時期NBAを去り、大リーグに挑戦していたマイケル・ジョーダンですが、滞空時間の長い華麗なジャンプショートにはうっとりさせられます。バッグスバニー、ダフィーダックスのほか、黄色い小鳥のトゥイーティー、ひげのガンマンことヨセミテ・サムらの見せ場も用意されています。クライマックスのバスケ対決は、最高に盛り上がります。新作『スペース・ジャム ア・ニュー・レガシー』の公開も近々予定されており、こちらも楽しみです。
ディズニーのセルフパロディ『魔法にかけられて』

ディズニーのミュージカル映画『魔法にかけられて』(2007年)も、おススメの1本です。おとぎ話の世界でのほほんと暮らしていたお姫さまのジゼル(エイミー・アダムス)が、意地悪な魔女(スーザン・サランドン)によって現実世界に追い出されてしまうファンタジーものです。
おとぎ話の世界で純真に育ったジゼルは、根っからの天然キャラ。ジゼルが歌を歌うと、彼女の周りには小動物たちが集まります。でも、そこがNYのマンションだと、集まってくるのは鳩の群れに、下水管から現れたドブネズミにゴキブリの大群。ディズニー映画がディズニーアニメのお約束の数々をセルフパロディ化した、爆笑コメディになっています。おとぎ話の世界がアニメで、現実の世界が実写という切り替えも効果的でした。
アニメと実写の融合作品には、表現のボーダーを越えた面白さがあります。想像力豊かだった少年少女時代へのタイムスリップ感覚を、ぞんぶんに楽しめるのではないでしょうか。
(長野辰次)
●映画『トムとジェリー』
監督/ティム・ストーリー 出演/クロエ・グレース・モレッツ、マイケル・ペーニャ
配給/ワーナー・ブラザーズ映画 3月19日(金)より吹き替え版・字幕版同時上映
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