マグミクス | manga * anime * game

声優・大谷育江、全世界のピカチュウを演じるまでの軌跡 人知を超えた演技力

今や一心同体ともいえるほどのピカチュウとの出会い

アニメ『ONE PIECE』チョッパー役 画像は『ワンピース THE MOVIE エピソード オブ チョッパープラス 冬に咲く、奇跡の桜』DVD(東映)
アニメ『ONE PIECE』チョッパー役 画像は『ワンピース THE MOVIE エピソード オブ チョッパープラス 冬に咲く、奇跡の桜』DVD(東映)

 この翌年、代表作として誰もが知っている『ポケットモンスター』(1997~2002年)のピカチュウを演じることとなります。現在まで、いまだに衰えないピカチュウの人気の何割かは、間違いなく大谷さんの熱演が成せる技ではないでしょうか。なぜなら国外で放映されるアニメ版は現地の声優がアテレコしなおすのが普通ですが、ピカチュウの声だけはすべて大谷さんのままで放送していることからも分かります。つまり大谷さんのピカチュウは万国共通。それだけの人気だということです。

 ほかにも、ご病気により作品から長期の離脱をしたとき、他の作品は代役を立てるという処置をしていましたが、『ポケットモンスター』のピカチュウだけは大谷さんがそれまで録音してきた声を場面により使い分けていました。このことからも大谷さんの存在感の大きさが分かります。

 ここで筆者が忘れられないエピソードをもうひとつ。スタジオで練習中の大谷さんが「ピカチュウ」と声を出したところ、サトシ役の松本梨香さんが「名前を呼んだ?」と聞き返したそうです。もちろん、大谷さんはピカチュウ語で「サトシ」と言ったそうで、何とも人知を超えた演技力ではないでしょうか。

 そして21世紀に入って、大谷さんは現在も演じ続ける、もうひとつの代表作と出会いました。それが『ONE PIECE』(2000年~)のトニートニー・チョッパーです。このチョッパーも大谷さんの魅力が詰め込まれたキャラで、かわいいマスコットの面だけでなく時に見せるシリアスで凛々しい姿が印象的でした。

 ちなみに大谷さんが『ONE PIECE』に出演したのはチョッパーが最初ではありません。実はサンジの子供時代も演じていました。他にもチョッパー登場前にアニメオリジナルキャラのメロイという少女も演じています。チョッパー登場後も他のキャラを演じることがありますが、その時は『ONE PIECE』レギュラー陣の別名義である「粗忽屋」を使用。大谷さんの別名は粗忽屋東京店です。

 大谷さんというと、主人公やマスコットにしろかわいいキャラを多く演じているイメージが強くありませんか?

 たとえば、『おジャ魔女どれみ♯』(2000年)以降のシリーズレギュラーだったハナちゃん、『NARUTO -ナルト-』(2002~2007年)の猿飛木ノ葉丸、『金色のガッシュベル!!』(2003~2006年)のガッシュ・ベル、『うちの3姉妹』(2008~2010年)のフー、『スマイルプリキュア!』(2012年)のキャンディ、『プリパラ』(2014~2017年)のユニコン、『PERSONA5 the Animation』(2018年)のモルガナなど、挙げたらキリがありません。本当はもっとご紹介したいのですが文字数の都合で筆者チョイスにさせていただきました。これからも大谷さんの元気なお声の演技を期待しています。

(加々美利治)

【画像】声優・大谷育江が出演する人気アニメ

画像ギャラリー

1 2