声優・堀川りょうの転機となったベジータ 「壊れてもらいましょう」と言われた役とは
スタッフから「堀川さんには壊れてもらいましょう」声優としての転機
『ドラゴンボールZ』(1989~1996年)のベジータは、その後も演じる機会が多い堀川さんの代表作です。
原作初登場時のベジータは少年らしい外見だったことから、少年役の得意な堀川さんが起用されたのかもしれません。実際、鳥山明先生はベジータを孫悟空より年下と設定していたそうです。それをアニメスタッフに伝え忘れたため、アニメオリジナル番外編の『ドラゴンボールZ たったひとりの最終決戦~フリーザに挑んだZ戦士 孫悟空の父~』(1990年)で年上という設定が生まれ、これ以降はアニメ準拠で年上になりました。
ベジータ役を引き受けた堀川さんもすぐに死ぬ悪役だろうと思っていたそうですが、巨悪らしく尊大に演じようと思ったそうです。それゆえ、原作では「てめぇ」と言う所を「貴様」と変更するなど、役作りを丁寧にしていました。堀川さんはアフレコ前に脚本を入念にチェックし、変えたほうがいいと思う部分はリハーサルから変更するそうです。そのプロ意識がベジータをより魅力的なキャラに育てたのでしょう。
結果的に人気が高くなったベジータは死ぬことなく味方側レギュラーに転身するのですから、その流れの一端を担った堀川さんの功績は高いものだと思います。そして、このベジータ役がきっかけで、それまでの美形キャラや少年キャラのイメージが強かった堀川さんが、さまざまな役どころを演じることになりました。
ベジータに近い存在である『まじかる☆タルるートくん』(1990~1992年)の原子力、『剣勇伝説YAIBA』(1993年)の鬼丸猛、『幽☆遊☆白書』(1992~1995年)の鴉、『ナースエンジェルりりかSOS』(1995年)のブロスといった敵役が増えます。そして、それまでになかった『GS美神』(1993年)の横島忠夫が、堀川さんの一大転機となりました。
スタッフから「堀川さんには壊れてもらいましょう」と言われた横島役は、それまでの堀川さんになかったアドリブ満載で演じています。これは、シリアスな役が多くフラストレーションの溜まっていた堀川さんとしては渡りに船でした。何しろアドリブで有名な千葉繁さんに匹敵するくらいだったそうですから、堀川さんの楽しそうな顔が目に浮かびます。おそらく近年、壊れたといわれるベジータもこんな感じで楽しく演じているのでしょう。
このほかにも『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』(1991~1992年)のコウ・ウラキ、『疾風!アイアンリーガー』(1993年)のキアイリュウケンなどは、なつかしく思うファンも多いキャラでした。
一方、最近のファンには堀川さんと言えば『名探偵コナン』(1996年~)の服部平次が印象的だと思います。堀川さん起用の理由は大阪出身で関西弁ができることでした。この他にも英語検定準一級を取得していることから、英語を話すシーンも巧みに演じています。その発音は英語を母国語にしている人も絶賛するほど。
その巧みな技で現在も多岐にわたって活躍する堀川さん。本日はお誕生日おめでとうございます!
(加々美利治)



