『ワンピース』名もなき「モブ」が世界を動かした? 壮大な伏線になっていた1コマ
『ONE PIECE』には、涙なしでは語れない感動シーンや、少年心を刺激する胸アツシーンの数々が描かれています。名シーンには読者でなくとも知っているような名セリフが必ずと言っていいほどついてきます。この名セリフを誘発していたのは意外にも名前もないようなモブキャラたちでした。
「ぼやき」がきっかけで明かされた真実に涙

『ONE PIECE(ワンピース)』では、作中で数多くの名言が誕生しています。読者のなかには、数々の名言に励まされたり、勇気をもらったりした人もいるのではないでしょうか? しかし、この数々の名言には、その言葉を誘発させた影の立役者がいます。その多くは名前も付けられていないモブキャラが多数ですが、彼らが『ONE PIECE』の世界をわずかでも動かしているのは確かなのです。この記事では、名言を誘発した名もなきモブキャラを紹介します。
※この記事は『ONE PIECE』1066話「オハラの意思」の内容を含みます。
●ロジャーに財宝の在処を聞いた人
『ONE PIECE』のプロローグとして描かれた名場面「ロジャーの処刑」でのロジャーのセリフは、知っている人もかなり多いワンシーンです。「おれの財宝か? 欲しけりゃくれてやるぜ」というセリフは、疑問形から始まっているため、投げかけられた質問にロジャーが答えたと考えるのが自然です。
作中で描かれてはいない群衆の誰かが、「財宝はどうしたんだ」などの疑問を投げかけなければ、『ONE PIECE』の物語で「大海賊時代」が始まることはなかったのかもしれません。描かれてもいないモブキャラが物語の核心を突いていた事実に『ONE PIECE』の奥深さを実感します。
●オハラのある考古学者
「エニエスロビー編」でロビンの過去が描かれ、考古学者たちの「本を守る」という執念が伝わってくるシーンがありました。バスターコールによって火がついてしまった「全知の樹」の本たちをどうにかして火から守るために、ひとりの考古学者が「窓から湖へ落とせ! 燃えてなくなるよりマシだ!」と指示を出しました。その後、湖に投げられた本の行方について作中で触れられることはありませんでしたが、1066話で本の行方が描かれました。
先人たちの遺産を守り抜くことができたのは、「湖へ落とせ!」と指示した考古学者と無知な海兵のおかげです。たった1コマしか描かれなかったモブキャラの存在が「空白の100年」を解くカギを未来につないでいた伏線になっていたなんて、当時の読者は想像もしていなかったことでしょう。
●おでんの処刑でぼやいていた町民
おでんたちの処刑中、おでんに向かって「バカ殿」と言い放った観衆のひとりも「ワノ国編」の重要なシーンのきっかけを作りました。おでんの苦労を知っていたしのぶが我慢できず、「バカ殿」と言った民につかみかかり、涙ながらにおでんの裏の努力を語りました。オハラの考古学者のような偉大な人物とはいえませんが、この発言がなければ、人知れず踏ん張っていたおでんの偉大さとオロチの愚かさを知ることはずっと後になっていたことでしょう。もし、そうなっていたら「おでんに候」のワンシーンが描かれることもなかったかもしれません。
(マグミクス編集部)