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地域おこしを担う「ご当地VTuber」増加のワケ 既存の「ゆるキャラ」カバーする多様な可能性

コミュニケーションが活躍の「場」 大きく広げる可能性

 沖縄県では、ご当地VTuber「玉那覇はるか(たまなは はるか)」が2018年11月に誕生しました。高校1年生という設定の「玉那覇はるか」は、沖縄県の観光地や文化を動画で紹介するほか、ローカルラジオ局「FM うるま」内のレギュラー番組「玉那覇はるかのVTuber情報局」にも出演。ネットの内外問わず発信を続けています。

 玉那覇はるかを運営する株式会社インタラクティブラボラトリー沖縄は、ゆるキャラや萌キャラの次の展開として、地域おこしでの利用が大きく見込まれるとし、那覇市と共同で企画したといいます。

 同企業の担当者は「ゆるキャラよりもデジタルコンテンツとの親和性が高いというVTuberの特徴を活かし、”健全”に”正当に”沖縄の観光紹介と観光産業振興、そして沖縄産業振興を目的として活動していく」と話しています。玉那覇はるかは、今後は上記のFMうるまのラジオ番組のほか、観光案内誌などのバーチャル以外の活動が予定されているそうです。

 ご当地VTuberとして地域性を出すために、ハイビスカスや沖縄ならではの色や柄を用いたデザインとなっており、運用の際には方言にも注意を払い”ご当地”感を演出しています。

沖縄県内で多目的な活動をするVTuber「玉那覇はるか」は、那覇市内にある国際通りの街頭ビジョンにも登場している(画像:株式会社インタラクティブラボラトリー沖縄)
沖縄県内で多目的な活動をするVTuber「玉那覇はるか」は、那覇市内にある国際通りの街頭ビジョンにも登場している(画像:株式会社インタラクティブラボラトリー沖縄)

 また、埼玉県行田市では、浮き輪をつけたお城型のゆるキャラ観光大使「うきしろちゃん」をVTuber化。それにともない、声優オーディションを実施しています。ゆるキャラがVTuberの世界に進出することで「声」という手段を手に入れ、歌を歌ったり、リアルタイムなコミュニケーションをとったりすることが可能になります。既存のゆるキャラの認知度を活かしつつ、活動の舞台をさらに広げようとする事例といえるでしょう。

VTuberに転身する埼玉県行田市の「うきしろちゃん」
VTuberに転身する埼玉県行田市の「うきしろちゃん」

 このように、地方自治体や地域の関係者がVRを積極的に取り入れています。特徴的なのはそのアイデアの多彩さ。例えば、静岡県清水市のご当地VTuber「葵桜玖耶(あおいさくや)」は、VRを駆使して市内の飲食店や観光地を紹介するブログを配信し、YouTubeではゲーム実況などの動画を公開してファンを獲得。より多くの人が清水市を知るきっかけを作り出しています。

 かつて、地域おこしを担うご当地キャラクターといえば熊本県の「くまモン」や千葉県船橋市の非公認キャラ「ふなっしー」など、いわゆる「ゆるキャラ」がブームでした。「ご当地VTuber」は場所や時間などの制約が少ないという利点があるほか、自らの個性を言葉や歌、動作、視覚効果などさまざまな手段で表現でき、より臨機応変で機敏なコミュニケーションをとることも可能です。
 
「ゆるキャラ」だけでは実現が難しかった、多様で新しい発信手法を生み出していく可能性があるからこそ、ご当地VTuberは注目を集めているといえるでしょう。

(マグミクス編集部)

※2019年2月6日一部加筆しました。

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