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【漫画】「恋人自慢」をするふたり お互いに恋人のかわいいところを語っていたらホラーな展開に?

食堂で開催されている「恋人自慢大会」。参加者はふたりだけで、女性が自分の彼女、男性が自分の彼氏について自慢しています。仲良く語り合っていますが、実はふたりはまったくの初対面で……。山田肌襦袢さんがTwitterで公開した創作マンガが話題です。

自分の「好き」について熱く語る姿が「尊い」

第2回「恋人自慢大会」を開催する女性(山田肌襦袢さん提供)
第2回「恋人自慢大会」を開催する女性(山田肌襦袢さん提供)

 食堂で即興の「恋人自慢大会」が開催されています。一ツ家ゆめる(ひとつや・ゆめる)は、年上の彼女のかわいい姿を熱弁。二見瑠世(ふたみ・るぜ)は、褒めると照れる彼氏がかわいいことを自慢しています。熱く語り合うふたりの様子を見ると「友だちどうしかな?」と感じられますが、実はゆめると瑠世は初対面で……。

 山田肌襦袢さん(@jujujuban)がTwitterで公開した創作マンガに、読者から注目が集まっています。この作品のポイントのひとつは、ゆめるが女性で瑠世が男性であること。つまり「彼女の自慢をする女性」と「彼氏の自慢をする男性」の物語です。それは『彼女がいる彼女と彼氏がいる彼』という作品タイトルにも示されています。

 とはいえ「特別」なマンガというわけではなく、あくまでも「好き」について語る楽しそうなふたりの姿が読者には「尊い」と響いたようです。「絵柄がめちゃくちゃ好きです」「あたたかい、素敵」「思ってたんと違うの最高」「お互いのイチャラブ自慢だけで連載してほしい」など多くの感想が寄せられ、Twitter投稿には6500件を超えるいいねがついています。

 作者の山田肌襦袢さんに、お話を聞きました。

ーー山田肌襦袢さんの漫画家としてのデビューのきっかけを教えて下さい。

 もともと趣味でWeb上にマンガを載せたり、同人誌を発行したりしていました。たまたま参加した同人誌即売会で、プロの編集者の方に自分が描いたマンガを見ていただけるスペースがあり、そこへ見せに行ったのがきっかけです。その時、今の担当さんが「仕事として描きませんか」と誘って下さいました。

ーー『彼女がいる彼女と彼氏がいる彼』のお話は、どのように生まれましたか?

 好きなもののことを好きだと話す人が好き、という単純な考えからのように思います。愚痴を言い合う会話より、好きなものについて語りたい人の話を聞いているほうが楽しいし、ポジティブな気持ちになれると思っています。

 SNS上ではマイナスの言葉のほうが大きく見える昨今、「好きという気持ちは口に出したほうがいい」という実感が強くなったせいもあるかもしれません。

ーー「第3のキャラクター」として、三ノ丸礼亜(さんのまる・れあ)を作中に登場させたのはどのような意図からでしょうか?

 三ノ丸礼亜は「彼氏がいる彼女」、つまり異性への恋愛感情を持つ女性です。主要キャラクターのふたりが同性への恋愛感情を持つキャラクターであり、割合的にマイノリティであることは事実なので、友人はマジョリティである可能性のほうが高い、という考えから生まれています。多様な性を描きたいという気持ちもあります。

ーー作品に対する反応で、特に印象に残った読者の声について、教えて下さい。

「ゆめるちゃんが顔を伏せていた理由が、つらいものでなくて良かった」という感想を見かけました。おそらく、パートナーが同性であることによって、何かしらつらいことがあったのではないか、という心配をして下さったのだと思います。

 私は男性どうしの恋愛のお話も、女性どうしの恋愛のお話も、好んでよく読んでいます。ただ、作中に「同性を好きになってしまう後ろめたさ」や「理解してくれない周囲による批判」などの描写が出てくることが多いです。

 現在の社会でそう感じる方が多いため共感を得やすく、かつ描いている作者さまたちも、その社会の姿はおかしいと思っているからこその演出がほとんどだと思います。私もその社会の姿はおかしいと思っているので、いっそのことそういう部分は描かないようにしました。フィクションですから、楽しいところだけの切り取りでいいや、と。

 作中には、恋愛対象が女性/男性だから良い/悪い、などは描かないようにしたつもりです。恋愛の楽しいところは、別に相手が女性/男性だから楽しいのではなく、「好きな人と過ごすから楽しい」だと思っているからです。

『27歳OL、異世界で遊女の管理はじめます』電子版 第2巻(GANMA!)
『27歳OL、異世界で遊女の管理はじめます』電子版 第2巻(GANMA!)

ーー山田肌襦袢さんの作品では、電子マンガ配信サービス「GANMA!」での『27歳OL、異世界で遊女の管理はじめます』の連載が完結しました。そちらについても、作品の概要や最新巻の見どころのご紹介をお願いいたします。

 乙女ゲームの世界に転生し、主人公でも悪役令嬢でもなく、敵っぽいサブキャラのおばさんになってしまうところから始まる、ひとりの女性の奮闘劇です。

 乙女ゲーム転生ものといえば、かっこいい男キャラがピンチに助けにきてくれる王道展開……も好きなのですが、「女性がひとりで頑張って、ひとりで助かったっていいじゃないか!」というテーマで描いています。ちょっと変わった転生ものが好きな方には好んでいただけるのではないかなと思います。

 電子版の2巻が2023年3月に発売され、3巻と4巻が2023年5月に発売予定です。2巻では主要キャラがそろい、「ほかとは一線を画す『これが……私……?』シーン」とコメントをいただいた変身回も収録されていますので、楽しんでもらえる巻だと思います!

ーー今後、Twitterで発表される作品については、どのように活動していきたいとお考えでしょうか?

 SNSの良いところは、思い付いたものを未完成でも発表できる場所であることだと考えています。ひとつの設定にとらわれず、定期的に何か更新できたらいいなと思います。

(マグミクス編集部)

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