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海外の「海賊版マンガ」にメス? 電子書籍2社による新会社の「強み」

「海賊版マンガの横行をストップする」という目的のもと、電子書籍事業を展開する株式会社パピレスと株式会社アムタスの2社による共同出資会社の設立が発表されました。

ルート開拓から翻訳まで、電子海外配信をサポート

左から、株式会社アムタス黒田淳代表取締役社長、株式会社パピレス松井代表取締役社長
左から、株式会社アムタス黒田淳代表取締役社長、株式会社パピレス松井代表取締役社長

 電子書籍事業を展開する株式会社パピレスと株式会社アムタスは2019年5月29日、日本の電子コミックを海外市場へ適切な形で取り次ぎ、コミックやアニメで横行する海賊版を防止することを目的に、共同出資会社「アルド・エージェンシー・グローバル株式会社」(以下AAG)を設立すると発表しました。

 パピレスはインターネットの普及期にあたる1995年に設立された、電子書籍市場のパイオニア。コアな読者層をターゲットにした電子書籍サイト「Renta!」を展開し、デジタルデバイスに最適化した表現手法「タテコミ」にも注力しています。

 株式会社アムタスは、自社制作のオリジナル作品も含む電子コミック配信で多くの女性読者に支持されている「めちゃコミック」を2006年から運営。電子書籍の老舗と気鋭の企業がタッグを組んだ新事業では、主に「海外市場向けに電子コミックの取次販売や翻訳サポートを行う」としています。

 5月29日に東京都内で行われた共同記者会見では、新会社の社長に就任した、パピレスの松井康子代表取締役社長が「マンガはアニメと比べると翻訳されている作品が少なく、無断で翻訳し販売されるケースが横行する一方、海外に作品を出すことに懸念を持つクリエイターが多い」と、現状の電子コミックが抱える問題点を指摘しました。
 
 あわせて、「配信する諸外国に合わせたローカライズも大きな課題だが、国内の出版社では海外に向けた人材の確保ができていない」とし、海外配信における適切な仕組みと翻訳サービスの必要性を強調しました。

 具体的な事業内容としては、海外配信先の開拓や確保、配信地域の文化や習慣に合わせた作品のローカライズや翻訳代行、海賊版対策などを挙げ、特に「支払管理」には力を入れるといいます。
 
 松井社長は「海外の電子書籍配信企業は、作家への支払いに関して非常にルーズであり、新会社は日本の会社としてしっかりと対応したい」と話しました。

【写真】電子コミック配信の新会社、代表にはパピレス松井康子社長が就任

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