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『スター・ウォーズ』そっくりだが、侮れない映画3選。もはやSFは現代の「神話」?

42年間にわたる「スター・ウォーズ」シリーズが完結し、SWロスに陥った人にもおススメ。SWテイストたっぷりなスペースオペラを紹介します。ジョージ・ルーカスがSWを作る上で参考にしたと言われる作品など、興味深い内容のものばかりです。

SWロスを防ぐ、明るいヒーローもの

映画『フラッシュ・ゴードン』DVD(KADOKAWA)
映画『フラッシュ・ゴードン』DVD(KADOKAWA)

「スター・ウォーズ」シリーズの完結編『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』が、2019年12月20日(金)より公開されました。ジョージ・ルーカス監督が生み出した『スター・ウォーズ』(1977年)の公開から42年。第1作からずっと観てきたファンは感慨深いものがあるのではないでしょうか。

 今回は、「スター・ウォーズ」(以下SW)っぽさを感じさせるエンタメ要素満載のSF映画3本をご紹介します。

 まず一番手として取り上げたいのは、レトロフューチャーな世界観が楽しめる映画『フラッシュ・ゴードン』(1980年)。1934年からアメリカで新聞連載が始まった人気アメコミを原作にした、底抜けに明るいアクションヒーローものです。

 SWファンの間ではあまりにも有名ですが、ジョージ・ルーカスはもともと、アメコミ『フラッシュ・ゴードン』の実写化を考えていました。ところが同作の映画化権はすでに大物プロデューサーであるディノ・デ・ラウレンティスが持っていたため、ルーカスはオリジナルストーリーとなる『スター・ウォーズ』の製作に着手したのです。もしもルーカスが『フラッシュ・ゴードン』を映画化していれば、SWシリーズは誕生していなかったか、ずいぶんと違ったものになっていたことでしょう。

飽きられることのない物語構造

クイーンによる『フラッシュ・ゴードン』サウンドトラック(USMジャパン)
クイーンによる『フラッシュ・ゴードン』サウンドトラック(USMジャパン)

 ジョージ・ルーカスは神話学者ジョーゼフ・キャンベルの著書『千の顔をもつ英雄』を読み、SWシリーズに神話性を取り入れたことが知られています。ジョーゼフが説いた神話学をざっくりと説明すると、英雄が非日常世界へと旅立ち、通過儀礼を経て、元の世界へ帰るというものです。SW初期三部作は、この構図にピタリと当てはまります。

 SW第1作の公開から3年後に完成した映画版『フラッシュ・ゴードン』は、垢抜けたデザインのSWに比べると当時はずいぶん野暮ったく映り、大ヒットには至りませんでした。しかし、アメフトの花形選手であるゴードン(サム・J・ジョーンズ)が悪の皇帝ミン(マックス・フォン・シドー)の支配する惑星モンゴへと乗り込み、ミンを倒して地球の危機を救い、真のヒーローになるという筋書きもまた、ジョーゼフの提唱した神話学に当てはまるものとなっています。

 コメディ映画『テッド』(2012年)では、主人公たちは熱烈な『フラッシュ・ゴードン』オタクという設定になっていました。確かにクイーンが歌う主題歌「フラッシュのテーマ」は軽快なノリのよさがありますし、ゴードンの能天気さは愛すべきヒーロー像です。『フラッシュ・ゴードン』が米国で長く親しまれ続けているのは、SWと同じく神話的構造を持っているからなのかもしれません。

【画像】「スターウォーズ」のルーツ? フランス60年代のSF漫画『ヴァレリアン』(10枚)

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