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毒の川下りに死屍累々『スーパーマリオサンシャイン』 トラウマシーンの数々が

2002年7月19日、ゲームキューブ用ソフト『スーパーマリオサンシャイン』が発売されました。舞台となるのは、グアムやハワイのような南国テイストあふれる架空の島「ドルピック島」。前作『スーパーマリオ64』のその後を描いた作品です。

水も滴る良いマリオ

『スーパーマリオサンシャイン』(任天堂)
『スーパーマリオサンシャイン』(任天堂)

 水も滴る良い男……もとい、”水も滴る良いマリオ”。そう表現したくなったゲームソフトは、2002年7月19日に誕生したゲームキューブ用ソフト『スーパーマリオサンシャイン』です。ここでの”水も滴る”という表現は単なる言葉遊びに留まりません。というのも、ビデオゲーム界のスーパースターことマリオは、本作において「水」と密接な関わりを持ったからです。

『スーパーマリオサンシャイン』の舞台となるのは、グアムやハワイのような南国テイストあふれる架空の島「ドルピック島」。前作『スーパーマリオ64』のその後を描いた本作は、マリオ一行がプライベートジェットでドルピック島へ向かうシーンから幕が上がります。

 しかし楽しいバカンスが始まるかと思いきや、ドルピック島のエアポートは何者かの仕業によって滑走路が使えない状態に。その場に居合わせたマリオは人語を喋る「ポンプ」と出会い、アクシデントの元凶を洗い流すことでピンチを脱しますが、今度はマリオが不審人物とみなされて警察に連行されてしまいます。失意に暮れるなか、逮捕の理由を「よく似た人物(ニセマリオ)が島を荒らし回っていた」と聞いたマリオ。彼は自らの無念を晴らすべく、各所に散らばった「シャイン」を集めながら真犯人探しに没頭します。

 特徴的なのは、『スーパーマリオ64』をベースとしながらもより際立ったアクションの数々です。ダッシュ移動とジャンプの妙は前作の時点である程度確立されていましたが、本作はポンプが加わったことで”放水”を軸とした新アクションが追加。各所に散らばったノズルパーツの付け替えにより、シチュエーションに特化したモーションの切り替えが可能となったのです。

 作中には噴射の勢いでしばらくの間空中に留まる「ホバーノズル」をはじめ、頭上高く飛び上がる「ロケットノズル」に、ダッシュを越えた移動スピードをもたらす水陸両用の「ジェットノズル」、そしてデフォルト状態の「ノーマルノズル」を合わせた全4種類のパーツが登場。これらを使い分けていかにフィールドを攻略できるか、ひいては島内のいたるところに残された”汚れ”をどれだけ効率よく洗い流せるか、筆者を含めた多くのプレイヤーがノズルの取捨選択に心を踊らせていたと記憶しています。

 またキャラクター面を振り返ると、クッパ大王の息子である「クッパJr.」が初めて舞台に立ったのも本作から。序盤は神出鬼没のニセマリオとして暗躍し、正体がバレた中盤以降もマリオの前へ幾度となく立ちはだかるその姿は、ラスボスのクッパに引けを取らない存在感を放っていました。ちなみにクッパJr.は本作で初陣を飾った後、『マリオパーティー』や『マリオカート』といった関連タイトルにたびたび出演。今では父親のクッパと一緒に、「スーパーマリオ」シリーズを賑わせる常連となっています。

手強いアスレチックコースを前に死屍累々

 そんな『スーパーマリオサンシャイン』、実はシリーズ中でも”難しい作品”として知られています。その所以は色々と考えられますが、発売当時にプレイしていた筆者が特に苦心したのは、高度な操作を要する「アスレチックコース」。何としても眼前のシャインを入手するため、繰り返される場外落下や障害物との接触ミスに辟易しながらも、悔しさ全開で「もう1回!」とリトライボタンを連打する日々を送っていました。

 特に印象深く、またインターネット上でも話題に上ることの多いのが「急流下りのミニコース」。一見すると葉っぱに乗ったまま川を下る安全なコースですが、実際は全くの逆。水面に少しでも触れるとマリオがダウンしてしまい、問答無用で開始地点へ戻されるという、危険極まりない毒の川だったのです。またゴール地点のシャインを獲得するためには、コース中に点在する赤コイン(全8枚)の回収も必須。ホバーノズルの滞空を使ったとしても、非常に繊細なコントロール技術を問われました。

 そのほか「きょだいウナギのはみがき」や、空中を飛行する生物の上で赤コインを集める「たんじょう おおすなどり」などなど、『スーパーマリオサンシャイン』にはまだまだ”トラウマシーン”が存在します。こうした難所は時に賛否両論を呼ぶとはいえ、ゲームを形作る重要なファクターであるのは間違いないでしょう。ドルピック島の”観光名所”となった手強いアスレチックコースの体験記は、また別の機会にでも言及させていただければと思います。

(龍田優貴)

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