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声優・石塚運昇氏を偲ぶ オーキド博士、ジェット・ブラック…深く、渋みのある声

傑作として名高い『カウボーイ・ビバップ』

『カウボーイ・ビバップ』ジェット・ブラック役 画像は『ピアノ曲集 COWBOY BEBOP』(ケイ・エム・ピー)
『カウボーイ・ビバップ』ジェット・ブラック役 画像は『ピアノ曲集 COWBOY BEBOP』(ケイ・エム・ピー)

 そして1998年、筆者にとって石塚運昇氏の印象を決定づけた作品が放送されました。そう、今なお日本のアニメーションを代表する傑作として名高い『カウボーイ・ビバップ』です。

 この作品での石塚氏は山寺宏一氏が演じる主人公、スパイク・スピーゲルの相棒である元警官のジェット・ブラックを演じており、強面で几帳面、何をやらせてもそつなくこなすがどこか優柔不断な性格という複雑な側面を持つキャラクターに、見事な演技で命を吹き込んでくれました。

 なお、本作でも監督を務めた渡辺氏によると、本作では山寺氏と石塚氏、そしてフェイ・バレンタイン役を演じた林原めぐみ氏の間で芝居のトーンをめぐって演技のせめぎあいがあったそうです。3人の超一流声優が果たしてどのようなつばぜり合いを見せたのか興味はありますが、演技に没入している声優たちがまとう気迫は想像を絶しています。おそらく、簡単な言葉で表現できるような世界ではないことは、間違いないでしょう。

 また、1997年からはアニメ『ポケットモンスター』でオーキド博士役を担当し、その後長く演じ続けることとなりました。時にはオーキド博士に扮してTV番組やイベントに顔出し出演するなど石塚氏=オーキド博士という強烈なイメージを、子供たちに植え付けました。なお、石塚氏が亡くなった後は堀内賢雄氏が後任としてオーキド博士を演じています。

 そして石塚氏について特筆しておきたいのが、後輩の声優たちからとても慕われていたという点です。石塚氏は20歳以上離れた後輩たちからも「運昇さん」「運昇ちゃん」と呼ばれて親しまれており、それだけで現場での石塚氏が良き先輩であったことを伺い知ることができます。

 もちろん慕われていただけではなく、演技についても大きな影響を及ぼしています。筆者が耳にした話では、ある女性声優さんがおっさんくさい女性キャラクターを演じる際に「このキャラクターは運昇さんのようにやってほしい」とスタッフからリクエストされたことがあるそうです。それだけ石塚氏の演技が共通認識として確固たる存在となっていたことが分かるエピソードではないでしょうか。

 ここに、視聴者にも、同僚の声優さんにも、もちろんアニメのスタッフにも愛された石塚氏への哀悼の意を捧げたいと思います。本当にありがとうございました。

(早川清一朗)

【画像】石塚運昇氏が演じた、印象深いキャラクターたち

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