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声優界のレジェンド・大塚周夫さん御命日 残してくれたキャラたちの声

想いと努力が、ねずみ男を万人に知られるキャラに押し上げた

『ゲゲゲの鬼太郎(第1作)』ねずみ男役 画像は『妖怪ワンダーランド ねずみ男の冒険』(著:水木しげる/筑摩書房)
『ゲゲゲの鬼太郎(第1作)』ねずみ男役 画像は『妖怪ワンダーランド ねずみ男の冒険』(著:水木しげる/筑摩書房)

 そんな大塚さんの代表作であり、自身も気に入っていたキャラが『ゲゲゲの鬼太郎(第1作)』(1968年)のねずみ男だったそうです。

 キャラとしての知名度はもはや説明の必要がないほどで、状況によって敵でも味方にもなるという裏切者の代名詞のような存在。そのキャラを第2作まで演じていたのが大塚さんでした。

 大塚さんも初めて演じた時にはキャラ作りに苦労して、レギュラーだった鬼太郎役の野沢雅子さん、目玉おやじ役の田の中勇さんが同じ劇団だったことから、相談しながらキャラ作りしたそうです。ねずみ男がたまにオネエ言葉になるのは田の中さんからのアドバイスで、セリフの印象を和らげる効果がありました。以降、たびたび大塚さんの得意技のひとつとなったオネエ言葉は、このねずみ男がきっかけで誕生したと言っても過言ではありません。

 ねずみ男は、大塚さんが普段の音域でなくハイトーンで演じていましたが、それを維持するのは大変だったようで、収録の際にたびたび「熱い」と言って頭をさすっていたそうです。

 それだけの苦労があったことから、ねずみ男役には絶対の自信があったようで、第3作で降板した時はショックを受けたそうです。しかし、それを引きずることなく、後任のねずみ男役になった富山敬さんや高木渉さんにエールを送っていたそうです。

 そして、自身も4作目、5作目で新たに白山坊役として『ゲゲゲの鬼太郎』に参加しました。ちなみに、この白山坊は6作目で前述の高木さんが演じていますが、これはプロデューサーに直談判したというエピソードがありました。

 大塚さんもメインがオリジナルキャストとなった『墓場鬼太郎』(2008年)で久々にねずみ男役に復帰。この前年のNHK特番でもねずみ男の声を演じるなど、トータル本数ではもっともねずみ男を演じた声優になります。

 大変、芸の道には厳しく、独自の哲学のような生き方を良しとしていた大塚さんは移動に車を使わず、いつも電車で移動していました。その合間に電車に乗っている人たちを見て、自身の芸に生かしていたそうです。人間観察が趣味と言っていたそうですが、常にストイックに芸の道に精進したいたことがわかるエピソードでしょう。

 そして、亡くなった時は地下鉄車内だったそうで、最後の一瞬まで芸のために人間観察をしていたと考えると、その心意気に敬服するばかりです。享年85歳でした。

 もう二度と新しいお声は聞くことはできませんが、これまでに残してくれたキャラたちの声を聞くことは可能です。先日、1000回の記念放送だった『ONE PIECE』(1999年~)のオープニングナレーションでは、大塚さんの演じたゴール・D・ロジャーがライブラリー出演を果たしました。ゲームでも以前に録音したものを再度使用した新作も多く世に出ています。

 こうやって大塚さんの残した声が新しく製作された作品に使用されることで、その魂は消えることはないでしょう。その機会は少ないかもしれませんが、これからもどこかで聞けることをいちファンとして願っています。

(加々美利治)

【画像】声優・大塚周夫が演じたキャラたち

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