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内山昂輝がコロナ禍の現場で考えること「どんな状況下でもメリットに目を向けたい」

コロナ禍で少人数でのアフレコスタイルが定番となった現在。相手と直接芝居を掛け合えない、新人声優が先輩の芝居を学ぶ機会が減るなど、声優の現場にも少なからぬ影響が及んでいます。デメリットばかりが浮き彫りにされがちですが、『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』、そして2022年7月放送『黒の召喚士』に出演する声優・内山昂輝さんは「メリットに目を向けたい」と語ります。

コロナ禍で変わらざるを得ないアフレコスタイル、一方メリットもあって…

内山昂輝さん
内山昂輝さん

「数字にとらわれすぎるのは良くないですが、『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』の興行収入をみると、普段はあまりアニメを見ない人たちが『最新のアニメってこんなに面白いんだ。じゃあ、他の話題作も見てみようかな』と、興味を持ってくれているのを感じます」

 そう語るのは声優の内山昂輝さん。『鬼滅の刃』では「那田蜘蛛山編」に登場する鬼・累を、『呪術廻戦』では都立呪術高専2年生・狗巻棘を演じる内山さんは、近年のアニメブームをダイレクトに体感し、その状況を「ポジティブにとらえている」と言います。

 幼い頃から芸能界で活動し、時代の流れを冷静に見つめてきた内山さんだからこそ、現在の状況を一過性のブームではないと感じているのでしょう。コロナ禍で様変わりしたアフレコスタイルによる若手育成の難しさなど、声優業界が抱える新たな課題も多いなか、第一線で活動する声優が今、率直に思っていることとは──。
(取材・文:とみたまい/撮影:藤田亜弓/編集:沖本茂義)

『黒の召喚士』 (C) 迷井豆腐・オーバーラップ/黒の召喚士製作委員会
『黒の召喚士』 (C) 迷井豆腐・オーバーラップ/黒の召喚士製作委員会

●最新主演作は「異世界転生もの」

 2022年7月より放送されるTVアニメ『黒の召喚士』にて、記憶をなくし異世界に転生した主人公・ケルヴィンを演じる内山さん。原作となる『黒の召喚士』(著者:迷井豆腐)は小説投稿サイト「小説家になろう」で連載され、シリーズ累計140万部以上を記録する人気作品です。

 現代社会でごく平凡に暮らしていた主人公が突如異世界に転生・召喚され、勇者や救い主として活躍する、いわゆる「異世界転生もの」は今やライトノベルの定番ですが、なぜこれほどまでに多くの人に受け入れられるジャンルとなったのでしょうか。

「理由のひとつに、『自分の実人生とは違う世界を楽しめる』ことがあるんじゃないかと思います。でもこれって実は、昔から続く『ファンタジーもの』にも同じことが言えるんですよね。『異世界に転生する』という今っぽい表現の作品は増えているのかもしれませんが、ファンタジーという普遍的なジャンルとしては、ずっと変わっていないと僕は思います」

内山昂輝さん
内山昂輝さん

 内山さんが言うように、異世界転生物語は「何らかの理由で異世界に飛ばされる」という導入のインパクトが強く、以降はなじみの深い冒険譚や成長譚が展開されることが多い印象です。そういったなかで、異世界転生ジャンルとして内山さんが感じる『黒の召喚士』の魅力とは?

「物語の導入が独特ですよね。前世から転生する作品の場合、『前世でできなかったことを果たしたい』とか『前世をやり直したい』といった動機が主人公を突き動かすことが多いと思うのですが、ケルヴィンは『前世の記憶と引き換えに、強力なスキルを獲得したい』と望んだ。言うなれば、本当に1からのスタートを自ら望んでいるんです。そこが個性的だし、その後、冒険を進めていく展開はRPGを楽しむプレイヤーの心境に近いものがあるんじゃないかと感じました」

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