『ガンダム』古参ファンが数十年ぶりにガンプラを触ったら… 衝撃的な進化に驚いた!
現在のガンプラは「自分で作るアクションフィギュア」?

1980年といえば、ちょうどガンプラブームが起こった頃。改めて振り返ってみるとガンプラはさまざまに進化してきました。
『機動戦士ガンダムZZ』で合体変形型のガンダムが登場した際にはテンションがかかるパーツが金属製になっていましたし、1980年代は「イロプラ」と呼ばれる多色成型の塗装不要モデルが登場したり、接着剤不要の「スナップフィットモデル」も定番化したりして、「初心者でも作りやすいプラモデル」が実現していきました。結果、手軽に組めて、しかも可動機構やプロポーションが洗練された「自分で作るアクションフィギュア」と呼べる高いクオリティに達したのです。
それでは、現在のガンプラは具体的にどのような仕様となっているのでしょうか? 最新アニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』に登場する主役機「ガンダムエアリアル」を例に紹介しましょう。
まずパッケージを開けると目に飛び込んでくるのは、色とりどりのランナー(パーツを切り離す前の状態)です。プラモデルのランナーといえば、だいたい1枚ずつ単色で成型されるものです。しかしバンダイのプラモデルは1枚のランナーの「この部分は青」「この部分はクリア素材」といったように多色成型されます。まさにガンプラ40年の歴史を象徴するかのような高い技術力です。
ちなみに接着剤を使わないプラモデルを開発するには、コンマミリ単位のズレも許さない高い精度が必要です。その精度も進化を続けており、例えば「フィギュアライズスタンダード」ブランドの「人造人間18号(『ドラゴンボールZ』)」は、瞳の部分がパーツ分けされており、組み立てるだけで瞳が色分けされるという、まさに異次元のレベルに達していました。
また「フィギュアライズバスト」でリリースしたホシノ・フミナ(『ガンダムビルドファイターズトライ』)に至っては、「レイヤードインジェクション」と呼ばれる、4つの成型色で構成された瞳のパーツを使用していました。つまり成型の段階で細かく色分けされていたのです。現在はタンポ印刷というプリント技術が主流になっており、デカールとの併用が多い美少女プラモデルの分野ですが、いかにバンダイが異次元の技術力を持っていたか分かる商品でした。
さらにバンダイのプラモデルと言えばゲート(ランナーと繋がっている部分)の構造も独特です。ゲートは金型に素材を流し込む際のまさにゲート(門)なので通常はそれなりの太さです。しかしガンプラではその部分が驚くほど細くなっており、部分によってはちょっと押さえたくらいでプツリと切れてしまうほどです。つまり切り離した後のゲート跡も最小で済むわけです。

また接着剤が必要だった頃はパーツの合わせ目が目立っており、パテとヤスリで合わせ目を消す作業をするのが当たり前でした(筆者は面倒くさがり屋なのでやりませんでしたが……)。
しかし現在は合わせ目が目立たないようなパーツ構成になっていたり、ゲート跡が目立たないような組み方をしたりする商品ばかりなので、塗装もヤスリがけもなく、ただ組むだけで完成品のアクションフィギュアさながらの仕上がりになるわけです。
そのほか『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のプラモデルでは関節部分の構造がより複雑になって柔軟なポージングが可能になっていますし、アニメ劇中の発光ギミックを再現する特殊パーツも付属しています。
筆者の周囲で数年ぶり・数十年ぶりにガンプラを触ったという人が口をそろえて「想像以上に進化していてびっくりした!」と目を丸くしていましたが、まさに浦島太郎のような感覚だったに違いありません。
まだまだ最新の商品は品薄になることが多く、店頭に並んでも1日あれば完売になるくらい人気のガンプラ。しかし1980年代の商品も含めて頻繁に再販されており、そちらは比較的入手しやすいので、まずはそちらで「プラモデルデビュー」もしくは「現場復帰」をしてみてはいかがでしょうか?
またガンプラに限らず、バンダイからは『仮面ライダー』シリーズ、『ウルトラマン』シリーズ、『ドラゴンボール』シリーズ、各種ロボットアニメのプラモデルをリリースしています。そちらも同様の高いクオリティで設計されているので、そこから入るのもいいですね。
初心者には、入門編としてリリースされている「EG(エントリーグレード)」のガンプラ、もしくは作り方の解説書も入った「スターターセット」がオススメです。
(気賀沢昌志)