「凍る」「炎」「嘘つき」……『フリーレン』の本質は翻訳すると見えてくる?
フリーレンの旅の目的である「天国」とは

●かつての勇者一行メンバーと魔族たち
勇者パーティーとして、フリーレンとともに魔王を討伐した勇者のヒンメル(Himmel)は「空・天国」という意味です。ヒンメルは既に亡くなっており、「空」あるいは「天国」にいるものと考えられます。フリーレンの旅の目的地は「天国」とも呼ばれる「オレオール(魂の眠る地)」であり、目的はヒンメルと対話することです。ヒンメルと旅した10年は、1000年以上生きるフリーレンにとってとても短く感じられるものでしたが、その後の人生に大きく影響を与えました。
勇者パーティーの僧侶であるハイター(heiter)は「朗らかな」です。晩年は戦災孤児だったフェルンを育て、フリーレンに託します。酒を愛し、フリーレンらに「生臭坊主」と言われても、いつも穏やかな笑みをたたえている人物でした。「朗らかな」という表現はハイターによく似合っています。
勇者パーティーの戦士でドワーフ族のアイゼン(Eisen)は「鉄」という意味です。どんな高さから落下しても無傷で済むぐらい頑強なアイゼンにふさわしい名前だと思います。
もう少し見ていきましょう。ヒンメル一行に封印された魔族のクヴァール(Qual)は「苦痛」を意味します。ゾルトラーク(人を殺す魔法)を開発し、悪逆の限りを尽くしました。人びとに苦痛を与えた魔族らしい名前です。
フリーレンの師匠にあたる人間の大魔法使いのフランメ(Flamme)は「炎・激情」です。彼女の情熱的な性格を示しているとともに、「凍る」を意味するフリーレンと対極の存在であることが示唆されています。
魔王直属の「七崩賢」のひとりである魔族で、「断頭台のアウラ」の異名を持つアウラ(Aura)は、「オーラ」です。オーラは「霊的なエネルギー」と訳されることもあります。「服従の天秤」に自分と相手の魔力を乗せて、魔力が少ないほうを服従させるアウラにふさわしい名前です。
アウラの配下で「首切り役人」の筆頭格である魔族のリュグナー(L?gner)は「嘘つき」を意味します。人間との和睦を装って、街の防護結界を解除させようとした策士をストレートに表現していました。このようなネガティブな意味合いの名前を持っても平然としているあたりが魔族らしさともいえそうです。
同じくアウラの配下で「首切り役人」のひとりである魔族のリーニエ(Linie)は「線・輪郭」です。人間の魔力の流れを覚えて、動きや技を模倣するのが得意なリーニエですが、本質がともなっていませんでした。輪郭のみをなぞっているから、このような名前がついたのかもしれません。同じく魔族のドラート(Draht)は「針金・ワイヤ」を意味します。「魔力の糸」を使うので、この名前がついたのだと考えられます。
ほかの登場人物の名前も、このようにドイツ語と照らし合わせて見ていくと、それぞれの性格や位置づけを理解する一助になるかもしれません。なお、意味を優先したネーミングになっているため、ドイツの人から見ると少し変な名前になっているそうです。
(大山くまお)



