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『FE聖戦の系譜』コントローラーを持つ手が震えた 二世代で織りなす名シナリオ

1996年5月14日に発売されたスーパーファミコン用ソフト『ファイアーエムブレム 聖戦の系譜』は世代交代のシナリオがプレイヤーを驚愕させました。「結婚」システムや「三すくみ」など、のちのシリーズにも受け継がれるゲーム性も人気の理由です。

バーチャルコンソールで今も人気『FE聖戦の系譜』

『ファイアーエムブレム聖戦の系譜』(任天堂)
『ファイアーエムブレム聖戦の系譜』(任天堂)

 新型コロナウイルス感染症の影響で外出自粛が続くなか、自宅でも気軽に楽しめる娯楽に注目が集まっています。家での時間が増えたことで、ゆったりと動画配信サービスやゲーム等に興じている方も多いのではないでしょうか。筆者も時間を見つけては気になるゲームを販売サイトからダウンロードし、コツコツとプレイを進めています。

 今回取り上げる『ファイアーエムブレム 聖戦の系譜』(以下『聖戦の系譜』)も、じっくりと腰を据えて遊べるシミュレーションRPG。バーチャルコンソール(任天堂のゲーム配信サービス)で上位にランクインし続ける、れっきとした”名作”です。

『聖戦の系譜』は1996年5月14日に誕生したスーパーファミコン用ソフト。「ファイアーエムブレム」(以下「FE」)シリーズの4作目にあたり、従来のシリーズタイトル同様、登場人物が織りなす人間ドラマに加え、キャラクター(兵士)を用いて戦うシミュレーション要素に富んだ作品となっていました。

 後世のシリーズに与えた影響も大きく、現在も根強く支持されている本作。ユーザーの心をつかんで離さない人気のゆえんは、親と子の二世代にわたって展開する物語にあります。

 前半の物語で主役となる「シグルド」は、由緒ある聖戦士の血脈を引く貴族の青年。実直な性格もさることながら、正義を重んじる立ち居振る舞いで、聖騎士としての地位に加え、愛する女性と一子を設けます。

 しかしユグドラル大陸(作中の舞台)に立ち込めた暗雲は、彼の人生に言葉にしがたい悲劇をもたらしました。彼は自身の妻をさらわれ、国家転覆の濡れ衣を着せられ、最終的にはある人物の企みに陥ることに。シグルドの仲間たちも含め、本作は序盤から中盤にかけて絶望的な状況に陥ってしまうのです。

 コントローラーを握る手が震えるほどに悲壮な行方が目立ちますが、後半からは主役がシグルドの息子である「セリス」へと代わり、親世代の子供たちが活躍する第二部が始動。グランベル帝国の圧政を打ち崩すため、そして第一部キャラクター陣の無念を晴らすため、解放軍を結成して戦乱に身を投じます。

物語性を補完した「結婚」システム

 親から子へと受け継がれる物語を語るうえで欠かせないのが、本作より実装された「結婚」システムです。これは”キャラクター同士が互いを伴侶として認め合う”というもの。マップを攻略中に異性のユニット同士を近くに配置することで、次第に距離が縮まり、恋人となった後に結婚します。この仕組みは物語性を補完する演出パーツとして、時には自由度の高い育成システムの一貫として、プレイヤーの想像力と創造意欲を掻き立てました。

 結ばれたカップルごとに専用イベントが見られるだけでなく、女性キャラは男性キャラの子供を出産。生まれた子供は両親のステータスやスキル、所持品を受け継ぎ、物語の後半にて成長した姿を披露してくれます。肉親の形見を携えて戦場を駆け巡る勇姿に、感慨深くなったユーザーもいるのではないでしょうか。

 一方で戦闘面に目を向けると、「FE」シリーズ初となる各武器の力関係も設定されました。

 いわゆる「三すくみ」というもので、斧を振るう豪腕は剣で対処し、槍を構えた騎兵には斧を叩きつけ、剣による斬撃を槍で捌く……。やや荒削りながらも、武器ごとの相性が導入されたことで戦闘に奥深さが増したのです。当時は異色だったかもしれませんが、現在のシリーズ作品を見るに、三すくみはブラッシュアップを踏まえて「FE」シリーズの標準となり得たと言えそうです。

 発売から26年を迎えてもなお、シミュレーションRPGの傑作として名高い『聖戦の系譜』。悲劇を乗り越えて平和を取り戻すシナリオと作品を彩るシステムの数々は、これからも人々の心を揺さぶり続けることでしょう。

(龍田優貴)

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