『ワンピ』読者の指摘に作者が焦った? SBSから逆輸入されたかもしれない裏設定
マンガ『ONE PIECE(ワンピース)』の作者の尾田栄一郎先生は、読者から指摘された「作画ミス」と思われる描写を、後の物語で巧みに活用していることがあります。ミスと思われたシーンが、何十巻も後に伏線として活きる展開に転換され、ファンから感心する声があがったこともありました。
木片から新キャラまで ファンの指摘もアイディアに変えちゃう?

マンガ『ONE PIECE(ワンピース)』の作者である尾田栄一郎先生は「SBS(質問コーナー)」で読者から指摘された「作画ミス」と思われる描写を、後に本編で巧みに活用したこともあります。読者からの素朴な疑問が、何十巻も後に思わぬ形で物語に組み込まれたこともあり、それらの展開はファンから多くの反響を呼びました。
コミックス25巻のSBSでは、読者から「Mr.3は悪魔の実の能力者なのに、なんで19巻の185ページの3コマ目に、水にプカーって浮いてるんですか?」と鋭いツッコミが入りました。これに対し尾田先生は「アレはなんと偶然にもMr.3の体の下に『ものっすごい浮く木片』があったんですね」と言い訳のような解説をしています。
単にSBS内のネタ的なコメントかと思いきや、この木片の伏線回収がコミックス66巻653話で、海底の「魚人島」から海上へあがる場面で登場しました。「麦わらの一味」の船大工「フランキー」は「浮力の高いこの『クウイゴスの木片』で船体を浮かすんだ」と語っており、同巻のSBSで尾田先生は「あの時言っていたのはこれの事なんですよ!!」と力説していました。
また、コミックス7巻のSBSでは「一巻で、山賊団が店に入ってきた時、ドアをこわしたのに出るときはなおっていたのはナゼ?」と指摘がありました。尾田先生は「大工の『みなともさん』」の仕業だとして、「けっしてぼくのミスではありません」と回答しています。
そのみなともさんにそっくりの人物が、のちにコミックス92巻929話で「港友」として登場しました。彼について、同巻のSBSでは「同一人物ではありません!名字は同じで血はつながっています。どうやら何十年前か前にワノ国の船が『東の海(イーストブルー)』に到達したという事実があるようなんです。」と解説されています。
その後、コミックス105巻のSBSでは「ロロノア・ゾロ」の家系図が公開された際に「55年前」に「霜月コウ三郎」をはじめ「大工みなとも」を含む25人が「ワノ国」を出航したとし、みなもとさんは時系列にも登場しました。
さらに、コミックス27巻のSBSでは、「スモーカー」の愛車「ビローアバイク」が「『人工降雨船』フール号」につながっていることを読者から指摘され、尾田先生は「あれは実は、水陸両用バイクなんですねえ」と回答していました。続けて「大波という意味の『billow』からとってありますし」「いつか本格的に使おうと思っています」と設定を明かしていました。
コミックス88巻887話では、「カポネ・ベッジ」の船で水陸両用の「ノストラ・カステロ号」が登場したほか、コミックス110巻1117話では、スモーカーがビローアバイクに乗って海上を走っています。ネット上では、久しぶりのビローアバイクの登場に喜ぶ声もあがっていました。
設定や作画のミスと思われるような指摘も、長い時間をかけて本編に登場させ、尾田先生の遊び心がうかがえます。ファンからは「物語を作る力がホントすごい」「読者がみんなSBSまでちゃんと読んでるってこと信頼してないと本編に出せないでしょ」などの絶賛の声が見られました。
(LUIS FIELD)