容赦ない衝撃アニメ映画 「悪役が倒されてからが1番トラウマ」「R指定当然」
幼少時にトラウマとなったアニメ映画のおどろおどろしい演出は、大人になると「こんなものか」と拍子抜けすることもあるかもしれません。しかし、人によっては「大人が観ても十分怖いな」と冷や汗をかくような作品もありました。
いやいや、怖過ぎだろ!

毎年何本も公開されているアニメ映画のなかには、TVアニメの延長の劇場版でも、とんでもない描写が相次ぐ作品もありました。
●『ルパンVS複製人間』
1978年に公開された「ルパン三世」シリーズの初の劇場長編作品『ルパン三世 ルパンVS複製人間』は、もともと大人向けの作品らしく、数々のトラウマシーンや、TV放送時にはカットされるような「攻め過ぎ」な描写が数多く含まれています。
本作の黒幕である「マモー」は、薄灰色の肌とぎょろりとした目つき、子供のような奇妙な頭身という強烈な姿のキャラクターです。マモーは1万年以上もクローン技術を用いて生き続けてきた怪人で、「ルパン」がマモーの母体である巨大な脳みそを目の当たりにするシーンも描かれています。ルパンが見上げるほど巨大な脳みそがリアルに描かれるシーンに、思わずギョッとした人も多いのではないでしょうか。
また、クライマックスではマモーは念動力や空中浮遊といった並外れた力でルパンを追い詰めるも、ルパンは折れた「斬鉄剣」の破片でレーザーを反射させ、それを食らったマモーの身体は焼け落ちます。恐ろしい形相のままドロドロと燃えていくマモーの姿はインパクト大で、「小さい頃にテレビでうっかり観て眠れなくなった」「パチパチ燃えながら不二子に近付いていくのが怖過ぎる。BGMもなくてただただ不気味」と、トラウマを植え付けられた人も多かったようです。
●『ドラえもん のび太と夢幻三剣士』
老若男女に愛される国民的作品『ドラえもん』の劇場版は、数多くの壮大な冒険活劇がファンから支持を集めてきました。その劇場版「ドラえもん」のなかには、子供が観たらトラウマになりかねない作品も少なくありません。
1994年に公開された『ドラえもん のび太と夢幻三剣士』も、そのうちのひとつです。不運続きで「せめて夢のなかではいい格好をしたい」と願う「のび太」が、カセット次第で自由に夢を見られる「気ままに夢見る機」を「ドラえもん」に出してもらい、夢の世界で大冒険をするストーリーでした。
本作は冒険の途中でのび太とヒロイン「しずか」が敵の攻撃によって塵と化し、明確に命を落とすシーンが描かれた数少ない作品でもあります。その後無事に生き返りはするものの、身につけていた鎧はそのままに身体のみが崩れ落ちる描写はトラウマ級です。
また、のび太を夢の世界に誘うキャラクター「トリホー」も、トラウマ要素のひとつでした。物語の黒幕「妖霊大帝オドローム」の参謀で、白くて大きな目と不気味な笑い方が特徴的なトリホーに関しては、「なぜ現実世界でのび太の前に姿を現すことができたのか」など、作中で回収できていない謎も多く残されています。そのため、「小さい頃に観てトラウマだったけど、あらためてリメイクして伏線を回収してほしい」といった声もあり、いまも忘れがたい人も多いようです。
●『メイドインアビス 深き魂の黎明』
かわいらしい絵柄の表紙からは想像できないほど、ハードでグロテスクな展開が多いマンガ『メイドインアビス』は、そのギャップから「表紙詐欺」とも称されています。本作は主人公の「リコ」が人間そっくりのロボット「レグ」と、謎だらけの縦穴「アビス」を探索するストーリーで、メインふたり以外にも、子供たちが容赦のない悲惨な目に遭うことも少なくありません。
2020年に公開された劇場版『メイドインアビス 深き魂の黎明』(R15+指定)では、リコと友人関係になる少女「プルシュカ」が、悲劇的な結末を迎えます。プルシュカはアビスの第5層の前線基地(イドフロント)を築いた探窟家の最高位「白笛」の称号を持つ「ボンドルド」の娘(実子ではない)であり、リコたちとともに冒険に出ることを夢見ていました。
しかし、ボンドルドは、無慈悲にもそんなプルシュカを自身が開発したアビスのもたらす「呪い」を肩代わりする装置「カートリッジ」に加工してしまいます。「生きたまま人間を解体し、必要最低限な部分のみを骨格代わりの容器に詰めて作られる」カートリッジは、家族や親友など精神的な強いつながりのある人間が使うことによって効果が発揮されるという非情な設定でした。
劇場版を観た人たちからは「あんなにボンドルドを慕ってたのに、カートリッジにされたプルシュカがかわいそう過ぎて泣いた」「グッズでカートリッジ型のキーケースとPCケースが売ってたけど、持ってたらトラウマ再発しそう」などの声が相次ぎ、公開当時SNSが阿鼻叫喚の状態になっていました。
(田中泉)