マグミクス | manga * anime * game

1話で「最終回」放送された衝撃作も!? いまの若者は知らない、平成の“常識破り”アニメ

近年、増えてきた完成度の高いアニメの裏で「実験的な挑戦」が強烈な印象を残してきたことも見逃せません。時系列をシャッフルした構成、アニメで再現されたマルチエンディング、声優のアドリブを軸にした異色の演出など、常識を覆す試みの数々は、ときに物議を醸しながらも新たな表現の地平を切り開いてきました。

誰もが困惑した『涼宮ハルヒの憂鬱』の初回放送

画像は、TVアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』挿入歌&キャラクターソング集『「Imaginary ENOZ featuring HARUHI」【初回生産限定 Lジャケ仕様】』(ランティス) (C)2007,2008,2009 谷川流・いとうのいぢ/SOS団
画像は、TVアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』挿入歌&キャラクターソング集『「Imaginary ENOZ featuring HARUHI」【初回生産限定 Lジャケ仕様】』(ランティス) (C)2007,2008,2009 谷川流・いとうのいぢ/SOS団

 近年は内容も展開も洗練されたアニメが増えていますが、それは過去に行われたさまざまな「実験」の賜物といえるかもしれません。とりわけ2000年から2010年にかけてのアニメ史には、常識を覆す演出や構成で話題を集めた作品が数多く存在しました。

 例えば今年放送20周年を迎えた『涼宮ハルヒの憂鬱』も、当時のアニメファンに強い衝撃を与えた一作です。まず2006年放送のTVアニメは、物語の時系列をシャッフルした構成が大きな話題を呼びました。しかも初回で放送されたのは、ハルヒたちSOS団による自主制作映画「朝比奈ミクルの冒険 episode00」。つまりは劇中劇です。

 配信版では第25話に位置付けられるエピソードで、開幕からいきなり「恋のミクル伝説」が流れて、そのまま素人感丸出しのカメラワークによる映像が続きます。当時の視聴者の反応としては「なんかすごいものが始まったぞ!」という驚きと、「いったい何を見せられてるんだ……」という戸惑いに大きく分かれていました。

 そして2009年放送のアニメ第2期では、かの有名な「エンドレスエイト」が展開されます。大筋でほとんど同じエピソードを8週連続で放送するという、あまりにも常識破りな演出でした。当時は何話で終わるかも告知されておらず、毎週視聴するしかなかったファンにとってはあまりにも過酷な体験だったでしょう。良くも悪くもアニメ史に強烈なインパクトを残し、いまも語り草となっています。

●逆再生、マルチエンディング、プレスコetc……

 実はそんな『涼宮ハルヒの憂鬱』よりも先に、「時系列シャッフル」を取り入れた作品が存在します。オービットの美少女アドベンチャーゲームを原作とするアニメ『ヤミと帽子と本の旅人』です。

 さらにその主要スタッフが再集結して制作されたアニメ『桃華月憚』もかなり前衛的で、第1話で最終話を放送し、最終回で物語の始まりに行き着く構成、いわば「逆再生」の手法が用いられました。この手法が視聴者を楽しませるものとして有効に機能していたかはさておき、演出の可能性を大きく広げた作品であったことは間違いありません。

 2010年7月に放送された『アマガミSS』は、マルチエンディング型ゲームのアニメ化作品にひとつの答えを示した作品です。多くの作品がメインヒロインのルートに重点を置いたり、本編とは異なる番外編的なエピソードで対応したりするなか、本作は1ヒロインにつき各4話というオムニバス形式を採用し、原作ゲームのマルチエンディングを巧みに再現しました。ヒロインが切り替わるごとにオープニング映像の一部も変化し、エンディングはそれぞれ個別に用意されています。

 なおその約3か月後に放送された『ヨスガノソラ』でも同様のオムニバス形式が取り入れられ、衝撃的な物語の内容とともに、当時の視聴者に強い印象を残しました。

 そのほか、アニメとバラエティーを融合した「てさぐれ! 部活もの」シリーズは、エピソードごとに挟まれる「大喜利タイム」が斬新でした。キャラクターを演じる声優たちがアドリブ主体の掛け合いを繰り広げ、その音声をもとに映像を構築していく「プレスコ」と呼ばれる手法が採用されています。

 本作を手がけたヤオヨロズの別作品『直球表題ロボットアニメ』も同様の手法が用いられていましたが、『てさぐれ! 部活もの』でさらに広く認知されました。キャラクターと声優の関係性に新たな可能性を提示した作品ともいえるでしょう。

 なかには物議を醸した例もありますが、こうした常識破りの試みこそが日本のアニメ表現の幅を押し広げてきたのかもしれません。

(ハララ書房)

【画像】「スタイル良っ!」「困り顔がかわいすぎる…」 こちらが『涼宮ハルヒの憂鬱』SOS団の自主制作映画にも登場した「朝比奈みくる」のバニー姿です(3枚)

画像ギャラリー

ハララ書房

エンタメ記事専門の編集プロダクション。漫画・アニメ・ゲームはもちろん、映画やドラマ、声優にも精通。メイン・サブを問わず、カルチャーの最前線を追いかけていきます。

ハララ書房関連記事

もっと見る

編集部おすすめ記事

アニメ最新記事

アニメの記事をもっと見る