大事な人をザオリクで蘇生しないのはなぜ? 「ドラクエ」世界の“死”の謎
「ドラゴンクエスト」シリーズでは、イベント上で死を迎えたキャラクターを、「ザオリク」などで蘇生させることはできません。「ドラクエ」世界の「死」は、『ドラクエ10』にヒントがありそうです。
子供の頃に抱いた疑問「なぜザオリクできないの?」

「ドラゴンクエスト」シリーズでは、戦闘でHPが0になり「死んで」しまった仲間も、「ザオリク」や「ザオラル」「ザオ」などの呪文、「せかいじゅのは」といったアイテム、教会で復活します。しかし、イベント上「避けられない死」を迎えるキャラクターがいます。プレイヤーキャラ以外は、なぜ「蘇生」できないのでしょうか。
※これ以降、HD-2D版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』(以下、ドラクエ3)及び、『ドラゴンクエストX』(以下、ドラクエ10)のネタバレが含まれます。
HD-2D版『ドラクエ3』では、勇者の父「オルテガ」にまつわるエピソードが、深く掘り下げられました。しかし、「大魔王ゾーマ」の城で「キングヒドラ」との戦いに敗れ、息子の腕のなかで息を引き取るという最期に変わりはありません。
オルテガらしき人物が戦っている様子は、早い段階で見えるものの、たどり着くまでに遠回りをしなくてはなりません。オルテガはキングヒドラに敗北してしまいますが、駆けつけたときはまだ、息がある状態です。子供の頃、ファミコン版をプレイした際は、「なんですぐベホマしないの?」と思い、オルテガが息を引き取ると「なんでザオリクできないの?」と疑問に思ったかもしれません。
「ドラクエ」における「死」の考え方は、『ドラクエ10』にヒントがありそうです。『ドラクエ10』では、ストーリーの冒頭で主人公が「死」を迎えます。そして、「生き返しの術」によって、同性、同名、異種族の「別人の身体」に転生するのです。その身体のなかには、本来の持ち主の「魂」はないようです。また、ストーリーが進むと、本来の持ち主の「魂」が主人公と対話するシーンもあり、やはり「魂」の存在がキーになると考えられそうです。
「ドラクエ」シリーズでは仲間キャラが戦闘で死亡すると、棺桶を引きずって移動するのがおなじみです。『ドラクエ10』の場合は、引き連れた仲間が死亡すると幽霊のような姿となり、「そこに魂がいるのでは?」と考えているプレイヤーもいるようです。
あくまでひとつの考察ですが、こうした点を踏まえると、「蘇生」できるのは「身体から魂が完全に離れていない状態」である必要があるのではないでしょうか。
HD-2D版のオルテガは、絶命したあと、息子の腕のなかで光の粒が散るように消えていきます。遺体も残らず、魂のありかは分からなくなってしまいます。この描写は、「オルテガをザオリクで生き返らせることはできない」という、ファミコン時代に子供たちが抱いた疑問へのアンサーととらえることができるかもしれません。
ちなみに、HD-2D版『ドラクエ3』のクリア後、隠しボスである「しんりゅう」を倒すと、いくつかの願いを叶えてくれます。そのなかに「父オルテガを 生き返らせたい」という選択肢があり、オルテガが「アリアハン」の家に帰り、妻と感動の再会をするシーンが描かれます。これについては、あくまで「クリア後のおまけ」と考えるべきでしょう。
HD-2D版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』:
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(マグミクス編集部)