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ドラクエ“最弱”武器はなぜ高級な「ひのき」だったのか? 堀井雄二「かしのぼうではダメ」表記の問題

「ひのき」は高級木材ですが、『ドラクエ』世界では「最弱」の武器です。さて、どうして「ひのきのぼう」になったのでしょうか。

「かしのぼう」ではダメな理由とは?

『ドラゴンクエストII』(画像は同作のAndroidアプリ版) (C)1987, 2014 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX All Rights Reserved
『ドラゴンクエストII』(画像は同作のAndroidアプリ版) (C)1987, 2014 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX All Rights Reserved

 国民的RPG「ドラゴンクエスト」シリーズにおける「最弱の武器」といえば、ご存じ「ひのきのぼう」です。初登場は意外にも初代『ドラゴンクエスト』ではなく、『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』でした。その時の攻撃力は「プラス2」であり、装備しないよりはマシといったところでしょうか。

「ドラゴンクエスト」シリーズの認知度が高まるにつれ、「ひのきのぼう」は最弱武器のアイコンとして、ファンに広く認知されるようになります。

 いまにして思えば、このひのきのぼうはなぜ「ひのき(檜)」だったのでしょうか。正直、檜の棒に「弱い」イメージもありません。調べてみると、そこには生みの親である堀井雄二氏のとある意図があったのです。

 大前提として、檜は高級材木です。耐久性に優れ、光沢を放ち、またなんとも高貴な香りがすることから、古くから日本では社寺建築などに用いられてきました。

 一方で、「武器」としても多く加工されてきたかといえば、やや違います。たとえば木刀ならば、材料としては主に「白樫」か「赤樫」、つまりは「樫(かし)」が用いられてきました。

 ならば、どうして「かしのぼう」ではなかったのでしょうか。そこには、開発当時のデータ容量が関係しています。

 1986年に発売された『ドラクエII』は、前作より容量が増えたとはいえ、使用可能な文字には限りがあり、まだ漢字も使えない状況でした。そうなってくると、魔物や武器、道具の名称で重要となってくるのが、「ひらがな」で伝わるかどうかです。

 堀井氏は、朝日新聞の「withnews(ウィズニュース)」掲載のインタビューで、以下のようにコメントしています。

「ただの棒じゃだめ。でも『かしのぼう』だと、お菓子みたい。それに『かし』って言われても平仮名だと何だかわかんない」

 同音異義語の混乱を避けた上で、ひらがなでも伝わる材質、そこで白羽の矢が立ったのが「ひのき」だったというわけです。林業大国の日本だからこそ、樹木の種類名で工夫ができました。

 さて、『ドラクエ』があまりにも売れたことで、下手すれば「ひのき=弱い」というイメージが伝わってしまったかもしれません。それゆえに、本当の檜に触れた時の感動もまた増します。

 現実でもホームセンターなどで、「ひのきのぼう」は買えます。もちろんDIY用で、間違っても武器用ではありません。

(片野)

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片野

構成作家。1960年代カルチャーを好む。これまでに「ウルトラ」シリーズをはじめとする特撮番組、「ドラゴンクエスト」「ポケットモンスター」など国民的RPGシリーズ、ギャグマンガのジャンルで記事を多数執筆。

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