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『ドラクエ12』ダーク路線はなぜ変更された? 偉大な「ふたり」に捧げる最後の挑戦

新たなタイトル『夢の彼方へ』とともに動き出した『ドラクエ12』の「方向転換」注目が集まっています。鳥山明、すぎやまこういちの両氏の「遺作に相応しい作品」という堀井雄二氏の言葉に、改めて重みが感じられます。

制作体制・サブタイトルを刷新し、「新たな方向性」を提示

2026年5月27日の配信で『ドラクエ12』の開発状況が明かされた際、すぎやまこういち氏と鳥山明氏が『ドラクエ12』に関わっていると、堀井雄二氏が改めて言及した  (C) ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX
2026年5月27日の配信で『ドラクエ12』の開発状況が明かされた際、すぎやまこういち氏と鳥山明氏が『ドラクエ12』に関わっていると、堀井雄二氏が改めて言及した  (C) ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX

 2026年5月27日にスクウェア・エニックス公式YouTubeチャンネルで公開された映像「ドラゴンクエストからのお知らせ」で、シリーズ最新作『ドラゴンクエストXII』の新情報が明らかになりました。

 今から5年前となる2021年時点では、『ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎』と発表されましたが、開発体制のリスタートに合わせ、タイトルが『ドラゴンクエストXII 夢の彼方へ』(以下、ドラクエ12)に変更され、多くのゲームファンが驚きました。

 また、『ドラクエ』の生みの親でありゲームデザインなども手がける堀井雄二氏は、『ドラクエ12』について、当初は「ダークな感じ。大人向けのドラゴンクエスト」と語っていました。

 しかし、今回の発表では、「夢の彼方には、きっとダークではなく明るくワクワクするような世界が広がっていると思いますよ」とコメントしており、作品の方向性にも変更があったのではないかと話題になっています。

期待があまりに大きかった、ダーク路線という「挑戦」

『ドラクエ』シリーズは、勇者が魔王や悪の化身に立ち向かう王道的な物語を主軸にしています。しかし、物語全体が単純な「勧善懲悪」で描かれているわけではなく、時には胸を締め付けるような展開も描かれてきました。

 決して「光」だけではない点も、『ドラクエ』シリーズが持つ魅力のひとつでした。その上で、「ダークで大人向け」な『ドラクエ』がどんな作品になるのかと、期待を高めていた人も少なくありません。

 そのため、作品の方針を転換したと思われる「明るくワクワクする」というコメントを受け、残念がる声も一部であがりました。「保守的になった」「チャレンジを諦めたように感じる」など、さまざまな声がインターネット上に広がっています。

 仮に方向性が変わったとして、実際にどのような理由で転換したのかは分かりません。指摘されたように、保守に走ったかもしれませんし、5年前とは違う社会情勢に合わせたのかもしれません。

 そしてもうひとつ、5年前から今日に至るまでに起きた変化が、作品の方向性に影響した可能性も考えられます。

 その変化とは、社会といった広い範囲ではなく、『ドラクエ12』の制作現場に直結する出来事──『ドラクエ』シリーズの音楽に携わったすぎやまこういち氏と、本シリーズの顔ともいえる、キャラクターやモンスターを描き続けてきた鳥山明氏の死去です。

「明るくワクワク」は保守的な変更? それとも…?

モンスター種族のように見える登場人物にも、制作陣の「挑戦」が感じられる……?  (C) ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX
モンスター種族のように見える登場人物にも、制作陣の「挑戦」が感じられる……?  (C) ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX

「ドラクエ」シリーズの展開は多岐にわたり、その歴史も長い歩みとなりました。メインシリーズは常に、堀井氏、すぎやま氏、鳥山氏がそれぞれの分野で力を尽くし、その成果を受けた多くのスタッフたちの手によって作り上げられてきました。

 しかし、2021年9月にすぎやま氏が、そして2024年3月に鳥山氏も亡くなり、この3人が揃い踏みとなる『ドラクエ』は、今回の『ドラクエ12』がおそらく最後になる見通しです。

 このふたりの死去を受け、堀井氏は「亡くなったおふたりの遺作に相応しいものをと思っています」と、自身のXアカウントで綴ったほか、今回の発表においても「今作も、鳥山先生のキャラクターと、すぎやま先生の音楽とともにお届けします」と述べています。

「ダークで大人向け」の『ドラクエ』という方向性は、プレイ意欲を刺激するほど意欲的な挑戦でした。その切り口が変わってしまい、残念に思う気持ちに駆られてもなんら不思議ではありません。

 しかし、「遺作として相応しいもの」を目指すと決めたための方向転換であれば、これもまた大きな挑戦といえるのではないでしょうか。あくまで推測の域を出ませんが、保守的になったのではなく新たな挑戦に臨んだ結果が、「明るくワクワクするような世界」だったのかもしれません。

 主人公のキャラクターデザインや、鳥山氏も好んでいたメカニカルな描写が多く見られる点など、『ドラクエ12』には単なる保守路線とは言い切れない要素がいくつも見受けられます。真相はもちろん分かりませんが、今は新たな続報を楽しみに待ち、その内容を見てから判断しても決して遅くはありません。

(臥待)

【画像】「マジでかわいい(笑)」 一方これがサプライズ発表で高評価の「ドラクエヒロイン」です(4枚)

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臥待

雑食系ゲームライター。ファミコン時代のクラシックゲームから現行機まで幅広くアクセスし、TRPGやゲームブックなどアナログ系にも手を出しながら、様々な「面白さ」の探求を日々続ける雑食系ライター。「「隠れた名作」を隠れさせることなく広く知らしめたい」という密かな野望を持っており、ユニークな依頼を万年受付中。

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