『葬送のフリーレン』はバッドエンド的だから嫌? 「ストレス展開」を過剰に避ける人たちに反響
『葬送のフリーレン』を冒頭で読むのをやめる人たちの意外な反応がSNSで話題に。その先にある感動や成長の物語を見逃すのはもったいない?
ストレスフルな展開を避けたい?

SNSでは最近、ヒットアニメ・マンガ『葬送のフリーレン』について興味深い投稿が話題を呼んでいました。「冒頭巻だけ読んでバッドエンド的だから読まない」という人がいるというのです。この話に多くのユーザーが驚きを示していました。
話題となったケースでは、『葬送のフリーレン』の冒頭で主人公フリーレンの仲間たちが亡くなり、墓前で涙を流す場面から「ひとりぼっちから始まる物語」ととらえ、「結末が不幸になりそう」として読むのをやめたようです。
しかし、これは作品の本質に対する誤解といえるでしょう。『葬送のフリーレン』の醍醐味は、喪失感や孤独を経験した後に始まる新たな旅路にあります。
長寿の魔法使いフリーレンが、亡き仲間たちとの時間をもっと大切にできなかった後悔から、人間を理解し、つながりの価値を学んでいく過程は深い感動を呼びます。物語が進むにつれ、フェルンやシュタルクなど新たな仲間との絆が生まれ、失ったものを嘆くだけでなく、新たな関係性のなかで変化・成長していく姿が描かれます。
一方、この議論のなかで、「バッドエンドは嫌い」「ストレスフルな展開は避けたい」と共感を示す人も存在しました。たしかに、ストレスが増加する現代社会において、余暇時間を使って楽しむフィクションのなかだけでも「安全な場所」を求めたいという気持ちも理解できます。アニメやマンガ作品において「日常もの」やストレスフリーな「俺TUEEE系」が根強い人気を誇るのも、そのためかもしれません。
しかし、『鬼滅の刃』にしろ『薬屋のひとりごと』にしろ、多くの人気作品は必ずしも「明るい展開」だけで成り立っているわけではありません。死や喪失といった避けられない人生の真実を描くことで、人生について深く考えるきっかけを与えてくれるのです。
もちろん、物語の楽しみ方は人それぞれですし、ストレスフルな展開を避けたい気持ちも分からなくありません。ただ、悲しい展開を過剰に避けることで、語り継がれる名作や感動的な物語と出会う機会を逃してしまうとしたら、それはもったいないことかもしれません。
(マグミクス編集部)