『パウ・パトロール』映画第2弾は子供向けのハリウッド大作? 最後まで飽きない演出
大人でも「かっこいい」と思えるビークルの演出

本作は劇場版ということでビジュアル面もリッチになっています。TV版と映画版のPVを見比べればすぐにわかりますが、TVシリーズでは茶色に塗られているだけのチェイスの毛が生えている部分は、『パウ・パトロール ザ・ムービー』ではしっかり毛並みを感じられます。キャラクターは全体的にモフモフ度が大幅アップしていますし、背景やエフェクトも大作映画に劣らない迫力。スローモーションを効果的に挟んだアクションシーンの演出も、TVシリーズからパワーアップしています。
特に、映画版におけるビークル関連のシーンは際立っています。メンバーそれぞれの特性を活かして活躍していたビークルですが、『パウ・パトロール ザ・ムービー』ではそれぞれの機能もデザインも進化し、それぞれのギミックでトラブル解決に大活躍します。
耳慣れたメインテーマの変奏となる劇伴とともに展開する出動シーンは、大人でも素直にかっこいいと思える映像で、乗りもの好き、ロボットアニメ好きの琴線に触れるでしょう。
ゲスト声優に留まらない、安倍なつみさんの好演
最後に、リバティを演じていた元モーニング娘。の安倍なつみさんの演技にも触れましょう。リバティは本作でパウ・パトロールの7匹目の子犬といってもよいほど活躍するため、安倍さんの声もゲストとは思えないほど多く聞くことになります。
しかし彼女の芝居はほかの並み居る声優さんと並んでも自然で、元気で賑やかな普段のリバティだけでなく、終盤のホロリとさせられるシーンの芝居も見事なものでした。アイドルとしてデビューした彼女ですが、ドラマやミュージカルなどにも多数出演してきた経験と、以前からTVシリーズを観ていたという『パウ・パトロール』愛が十分に発揮されていると感じられます。
このように、84分もありながらまったく飽きずに楽しめる『パウ・パトロール ザ・ムービー』は、“子供向けのハリウッド大作”といった趣があります。ぐずりやすい子供をお持ちの方はもちろんですが、難しいことを考えなくても楽しめるエンターテインメント作品を観たいアニメファンもぜひチェックしていただきたいです。
(はるのおと)
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