『逆転イッパツマン』放送40周年 「悪が勝った」エピソードの真相とは?
1982年2月13日は『逆転イッパツマン』の放送が開始された日です。「タイムボカンシリーズ」の第6作となる本作は、主役がそれまでの少年少女から青年の男性へと変更される、悪玉が勝利する回があるなど、シリーズのマンネリを防ぐためにさまざまな挑戦が試みられた意欲作として知られています。
モチーフは「野球」、マンネリ化への対応で新機軸を取り入れ

40年前の1982年2月13日は、『タイムボカンシリーズ 逆転イッパツマン』(以下、イッパツマン)の放送が開始された日です。あれからちょうど40年、主人公・豪速九(ごう そっきゅう)を演じた富山敬さんも、ナレーションを務めた鈴置洋孝さんも、三悪のコスイネン役である八奈見乗児さんも、キョカンチンのたてかべ和也さんも亡くなられてしまいました。まだご存命であるムンムン役の小原乃梨子さんには、末長くお元気でいて欲しいと切に願います。
さて、1975年にスタートした『タイムボカン』シリーズのなかでも『タイムボカン』と『ヤッターマン』は度重なる再放送も相まって、子供たちの日常の一部となっていました。
夕方の4時ごろという、今では考えられない時間帯にも『ムーミン(旧)』などとともに放送されることが多く、放課後の子供たちをTVの前に釘付けにしていたものです。いま改めて考えれば、夕食の支度に追われるお母さんにとっては心強い味方だったのではないでしょうか。
『ヤッターマン』の後にも『ゼンダマン』『オタスケマン』『ヤットデタマン』と、趣向を凝らした新作が次々と制作されており、関東圏では午後の6時半から放送され、子供たちを楽しませてくれていたものです。しかし人気こそあったものの、視聴率では『ヤッターマン』をなかなか超えることができず、マンネリ化も指摘されていました。
このような状況で登場したのが『イッパツマン』でした。当時の男の子に人気のあった野球をモチーフとして取り入れ、主人公もシリーズ恒例の少年少女から青年男性に変更されるなど、マンネリ化を防ぐためのさまざまな工夫が取り入れられていました。
前作『ヤットデタマン』に引き続き、巨大ロボットも「逆転王」と「三冠王」が登場し、子供たちを歓喜させたものです。また、ストーリーもかなりシリアス方面に舵が切られているのですが、オープニングの一番最初に豪速九が走るシーンと足音を入れるだけで、子供にも「あ、このアニメは今までのとは何か違うぞ?」と理解できるよう作られていることに驚かされました。本作を製作したクリエイターたちが、子供たちに真剣に向き合っているからこそできた演出なのでしょう。