冴えない中年おじさんが頑張るマンガ4選 SFバトルや社会派の純愛作品も
「手持ちカードが悪すぎた」おじさんの戦いが泣ける

●『最強伝説黒沢』
『アカギ』『カイジ』などの福本伸行先生が、中年男のさえない日常と戦いを描いた『最強伝説黒沢』は、読むたびにどんどん味わい深くなる名作です。主人公・黒沢は44歳独身、土木作業の現場で働くも、会社では立場も人望もないおじさん。そんな彼は「なんのために生きているのだろう」と自答しながら、日々を何とかサバイブしていくのですが……。
ワールドカップの日本の活躍で感動するふりをしながら、「感動などないっ!あんなものに……」と絶望する黒沢のモノローグから始まり、職場での人望を得るためのアジフライのエピソード、黒沢が白木屋を気に入っている理由、なんでも悩みを聞いてくれる友人「太郎」とのやり取りなど、笑えながらも泣けてしまう中年の悲哀が、「福本節」満載の名言とともに詰め込まれています。
途中から格闘マンガの要素も盛り込まれ、そこでの黒沢の自身の排泄物まで武器にするファイトスタイルや、暴走族に襲われそうになって逃げようとしていたホームレスたちに向けられた演説、不良中学生・仲根に嫉妬しながらも向こうから慕われてしまう奇妙な関係性などなど、独特な見どころが満載。読めば「頑張って生きていくしかない」と奮い立たせられる、そんなマンガです。ちなみに、不登校の中学生・孝志の言い訳に向けた、お父さんのモノローグでのツッコミも、名言の宝庫として知られています。そして続編『新黒沢 最強伝説』でも、黒沢はまさしく「伝説」的生き様を見せてくれました。
●『愛しのアイリーン』
『宮本から君へ』『ワールドイズマイン』などで知られる新井英樹先生が「過疎化」「少子高齢化」「嫁不足」「外国人妻」などの社会問題をからめて描いたマンガです。95年のマンガですが、それらの問題がより深刻になった現代にこそ響く内容になっています。
寒村で両親と暮らす42歳独身の男・宍戸岩男は、職場の同僚・吉岡愛子への恋に破れ、貯金をはたいてフィリピン人のアイリーンと結婚。昔気質で息子を溺愛する母・ツルは当然大反対、岩男も女性経験がほとんどないためアイリーンと上手く接することができず苦労します。そして、女衒(ぜげん)の塩崎が現れたことで、岩男とアイリーンは取り返しのつかない事態を起こしてしまい…。
新井先生らしいページから熱がほとばしるような勢いと名言、予想のつかない展開が魅力の本作。極限状態で芽生える岩男とアイリーンの間の絆、岩男の不器用な優しさ、ツルが息子を異常なまでに愛する理由にも泣かされます。登場人物に容赦のない物語ですが、新装版に追加された、ファンタジックで優しい「その後」のエピソードが爽やかな余韻を残してくれました。2018年の実写映画版も、原作のえぐい部分までしっかり再現し、高い評価を得ています。
(マグミクス編集部)


