16歳でアニメ界に現れた坂本真綾 菅野よう子を「にらんだ」エピソード
マルチな活躍を見せる坂本真綾さん

1998年頃から本格的に声優としての活動を拡大させた坂本さんは、多くの作品で主役級の役を次々担当するようになります。その数はあまりにも膨大で、坂本さんが担当した役、参加した作品を挙げていくだけでもちょっとした本ができ上がりそうな物量となります。
すべてを挙げることはできませんが、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』のルナマリア・ホーク、『桜蘭高校ホスト部』の藤岡ハルヒ、『物語シリーズ』の忍野忍/旧キスショットなど枚挙にいとまがありません。
まったくタイプが違うキャラクターの演技をこなすのは簡単なことではないのですが、どのキャラクターを見ても、生き生きとしたキャラクターのなかに確かな「坂本真綾」が存在していることに驚かされることもしばしばです。パーソナリティが異なるキャラクターに、確かな自分を込められる力こそが、坂本さんの真骨頂なのかもしれません。
坂本さんの活躍は、もちろんアニメの声優だけにはとどまりません。吹き替えに関しては小学生時代から担当しており、同世代の声優のなかでも群を抜くほどの膨大な数を演じています。特に『スター・ウォーズ』シリーズでパドメ・アミダラを演じたナタリー・ポートマンを足掛け20年以上担当していることは特筆すべき点でしょう。
歌手としての活躍も目覚ましいものがあります。「約束はいらない」で本格的なデビューを果たした坂本さんは、1999年に『カードキャプターさくら』の3rdオープニングとして使用された「プラチナ」が2019年に「平成アニソン大賞」において声優ソング賞を受賞するほど、高い評価を受けています。
また、『マクロスF』のオープニングに起用された「トライアングラー」はオリコンシングルチャートで週間3位を記録、2011年に発表したオリジナルアルバム『You can’t catch me』では週間アルバムチャートで首位を獲得するなど、声優界最高峰の歌い手のひとりとして確かな実績を残しています。
その他にもラジオパーソナリティやナレーション、ゲームの声当てなど声優として想像し得るあらゆる活動をこなすだけでなく、作詞家や舞台女優としても活躍している坂本さん。
そんな坂本さんが2021年10月、健康上の理由でミュージカル『リトルプリンス』を休演すると発表したときは、ファンの間から心配の声もあがりました。12月になり妊娠が発表され、ファンからは祝福の声が沸き起こりました。
現在は出産に備え活動を休止していますが、いつかまた、坂本さんの新たな声を聞かせてもらえる日を楽しみにしています。夫の鈴村健一さん共々、どうぞご自愛ください。
(早川清一朗)