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ゲームブックは死なず! ソシャゲ氾濫の今、マニアが語るその「本質」とは

レトロタイトルを指名買いする客が増加

 次は現在の売れ筋です。中古ゲームブックやテーブルトークRPG本、絶版ゲームブックのカタログ冊子『オールアバウトゲームブック』を販売するオンラインショップ「トレーダーズギルド」に聞きました。

さまざまなゲームブックを販売するトレーダーズギルド(画像:トレーダーズギルド)
さまざまなゲームブックを販売するトレーダーズギルド(画像:トレーダーズギルド)

「『魔法使いの丘』『城砦都市カーレ』『七匹の大蛇』『王たちの冠』といった、東京創元社の『ソーサリー』シリーズや、『火吹山の魔法使い』『バルサスの要塞』『盗賊都市』などの社会思想社『ファイティングファンタジー』シリーズの初期作品が人気で、1980年代当時にベストセラーだった作品が現在でもベストセラーになっています」

『ソーサリー』は創土社から2003年に復刻版が発売されましたが、翻訳などの違いから「(1980年代に発売された)原著を読んでみたい」という要望が多く、東京創元社版が良く売れているとのこと。

人気タイトルの『バルサスの要塞』(画像:マグミクス編集部)
人気タイトルの『バルサスの要塞』(画像:マグミクス編集部)

 なお、購買層の多くはゲームブックブーム真っ盛りの1980年代当時、小中学生だった人たちで、「当時読んでいた作品をまた読んでみたかった」という懐古的な理由が多いようです。その一方、新しい層や若年層の読者も、多くは『ソーサリー』シリーズや『火吹き山の魔法使い』を購入しているといいます。その理由について、トレーダーズギルドは次のように続けます。

「知名度もさることながら、純粋に内容が優れ値段も手頃であることと、ネット上で『ソーサリー』シリーズや『火吹山の魔法使い』が、初代『ドラゴンクエスト』や初代『ファイナルファンタジー』のような『ゲームブックにおけるレトロゲームの名作』的な評価をされており、そのような評価を見てこれらの作品を指名買いする人が多いようです」(同)

女性ファンの趣向は「両極端」

 購買層には男性が基本的に多いものの、女性も2~3割程度いるといいます。また女性ファン特有の傾向があるようです。

「女性ファンは、東京創元社『暗黒教団の陰謀』、社会思想社『地獄の館』などのクトゥルフ神話(米国の怪奇小説家、ハワード・フィリップス ラブクラフトが作った怪奇小説の大系)に関連するの恐怖作品やホラー系作品を好む一方、東京創元社『ネバーランドのリンゴ』などの、メルヘン基調の楽しい作品なども選ぶ傾向があります。女性のゲームブックファンは趣向が暗いか明るいか、両極端なことが多いです」(トレーダーズギルド)

1980年代は映画やファミコンゲームを原作としたゲームブックも発売された(画像:マグミクス編集部)
1980年代は映画やファミコンゲームを原作としたゲームブックも発売された(画像:マグミクス編集部)

 その理由について、「あくまでも当店での傾向」と断った上で、次のように続けます。

「1980年代に発売された大半のゲームブックは『男が主人公の中世ファンタジー物』だったため、女性の興味を引くような要素がないのかもしれません。その結果、現代を舞台としたホラー物や、主人公が妖精であったりするようなメルヘン物が選ばれたのではないでしょうか」(トレーダーズギルド)

 同店では近年、若年層の問い合わせも増加傾向にあるといいます。特にニンテンドーDS向けにアトラスから発売された『世界樹の迷宮』シリーズや『進撃の巨人 ゲームブック』シリーズ、推理小説『都会(まち)のトム&ソーヤ』のスピンオフ企画である『都会(まち)のトム&ソーヤ ゲームブック』といった人気作品のゲームブックを体験した人から、「こういった、話が分岐するようなゲームブックはほかにもあるのか」といったような問い合わせを受けるといいます。

「最年少で18歳前後でしょうか。『進撃の巨人 ゲームブック』の感想で『選択によって原作のキャラクターと共闘したり、原作と違うストーリーに進めるのが面白い』という声もあり、選択によってストーリーに変化があることが大きな魅力になっているようです」(同)

【画像】名作映画もやファミコンゲームも? 少年たちが熱中したゲームブック(8枚)

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