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細田守監督が『未来のミライ』の裏側で描いた「生と死」の季節とは

小説版で明らかになった、『未来のミライ』の裏設定

くんちゃんと生まれたばかりの未来  (C)2018 スタジオ地図
くんちゃんと生まれたばかりの未来 (C)2018 スタジオ地図

 本編では、くんちゃんの曾祖父が戦争中に徴用され、船で体当たりする特攻隊に入れられていたことが、くんちゃんの母(声:麻生久美子)の口から語られます。船で体当たりする特攻隊とは、水上特攻艇のことを指しています。細田監督自身が執筆した小説『未来のミライ』(角川文庫)では、このように書かれています。

【水上部隊とは、改良したトラックのエンジンを積んだベニヤ板製の小型ボートに、爆弾を積んで体当たり攻撃をする隊のことである。敵国の本土侵攻に備えて編成された多くの特攻隊のうちのひとつだった。】

 太平洋戦争時の日本軍の特攻隊といえば、零戦に爆弾を搭載した「神風特別攻撃隊」が有名ですが、他にも人間魚雷「回天」や肉弾ロケット「桜花」などが実戦に投入されています。

 なかでも、ベニヤ板で作る特攻艇「震洋」は大量製産できることから、終戦間際には4000隻近くが本土決戦に備えて実戦配置されていました。フィリピン、沖縄、台湾にも派遣され、多くの命が散っています。大勢の若者たちの尊い犠牲の上で日本は終戦を迎え、民主国家として再出発することになったのです。

 細田監督の作品には『時をかける少女』(2006年)や『サマーウォーズ』(2009年)など、夏をモチーフにしたものが多いことも特徴です。ひと夏の間に子どもたちは目覚ましい成長を遂げ、生を謳歌します。でも、その一方で死の影もしっかりと刻印されていたのです。日本人にとっての夏とは、生と死とが交差する特別な季節であることを、細田作品は思い出させてくれるのです。

(長野辰次)

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