ネトフリ『超かぐや姫!』で細田守作品を思い出す人多数? 「ポジティブな面」を抽出してると言われるわけ
Netflixで配信中の『超かぐや姫!』が細田守監督作品と比較されるのは、VR空間やゲームを舞台にした設定だけが理由ではありませんでした。
ポップでポジティブなネットの世界がある

2026年1月22日よりNetflixで配信が始まったアニメ映画『超かぐや姫!』には、「細田守監督は『超かぐや姫!』を見たほうがいいかもしれん」「『サマーウォーズ』の頃の細田守を300%増しでエンタメに極振りしたかのよう」など、「細田守監督の名前を挙げた意見が多数あります。その理由には、『超かぐや姫!』が細田監督作にあった「ネットのポジティブさ」を受け継いでいるからかもしれません。
『サマーウォーズ』をほうふつとさせるVR×ゲームの設定
『超かぐや姫!』のあらすじは、17歳の女子高生「酒寄彩葉」と、月からやってきた少女「月見かぐや」が「ライバー活動」へ励んでいくというものです。古典中の古典『竹取物語』をベースにしながらも、「SNS時代の物語」へと大胆な転換をしています。
そんな『超かぐや姫!』から連想する人が多かったのは、やはり細田監督作『サマーウォーズ』でした。VRの世界で誰かの羨望を集める存在となったり、ゲームで勝負をするという、分かりやすい共通点があります。
実際にアニメイトタイムズの山下清悟監督のインタビューでは、「20年前の『サマーウォーズ』の時には説明が必要だった『VR空間にゲームがあり、そこで対戦する』という設定は今では自然に観客が受け入れられる時代になってる」という考えも語られていました。
『超かぐや姫!』劇中のゲームは、『リーグ・オブ・レジェンド』を思わせるものですし、プロゲーマーチームの存在も2026年のいまでは「当たり前」になっているものです。そういった点で、『サマーウォーズ』を「20年後にアップデートした」印象を覚えた方が多かったのだと思います。
『竜とそばかすの姫』のポジティブさを抽出した作品に
また、細田監督は『サマーウォーズ』と同様にVR空間が舞台の一部になっている『竜とそばかすの姫』を手がけていました。同作は「誹謗中傷」や「デマの流布」や「正体を明かすことへの恐怖」などのネットのネガティブな面が目立っていたものの、「仮想空間で絶大な人気を誇る歌姫になる」という設定で、「ネットがあってこその自己実現ができる」というポジティブな可能性も見つめた作品です。
一方で、『超かぐや姫!』でのネットの描写や雰囲気は、とことんポップでポジティブなものです。主人公の彩葉とかぐやは、現実世界では楽しく共同生活をしつつ、かつインターネット上のVR空間「ツクヨミ」の世界でのライバー活動や、ゲームにも全力で挑んでいきます。
黎明期にはアンダーグラウンドな印象もあったネットの世界が、これほどまで大衆に開かれた美しくも楽しいものになっているという感慨、いや喜びが、『超かぐや姫!』からはたっぷりと伝わってくるのです。
しかも、劇中の重要な要素である「ボカロ曲」は、「ニコニコ動画」から始まって2010年代に一般的に知られるようになり、2020年代にはTikTok世代にも広がった文化でした。さらには、「VTuber」に当たる存在まで描かれるため、ポップでポジティブなネットの「変遷」を一気に見ているような印象もあります。
何より、『超かぐや姫!』では「ネットやテクノロジーの進歩があったからこそ誰かを救えるし、幸せになれる」というメッセージが盛り込まれていました。それは、『竜とそばかすの姫』でもはっきりと描かれていたことです。
ネットのポジティブな部分と、ネガティブな側面がやや両極端に描かれた『竜とそばかすの姫』に対して、ほぼプラスの面のみを抽出したと言える『超かぐや姫!』は、確実に細田監督作にあった「ネットへの希望や可能性」を受け継ぎ、しかもいまの時代にアップデートした作品と言えるでしょう。
(ヒナタカ)
