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「映画2000円」は本当に高い? 各国の鑑賞料金・平均所得を比較して見えた真実

各国の平均所得と比較すると日本の映画館は割高?

興行収入100億円を突破した『名探偵コナン 黒鉄(くろがね)の魚影(サブマリン)』メインビジュアル (C)2023 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
興行収入100億円を突破した『名探偵コナン 黒鉄(くろがね)の魚影(サブマリン)』メインビジュアル (C)2023 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

 純粋な値段の比較では、日本の映画館は上から3番目に高くなりますが、物価や平均所得は各国異なるので、値段だけでは「割高感」は把握できません。日本では900円くらいで食べられるラーメンがニューヨークでは2000円以上しますが、物価や平均所得を考えたら、それくらいの値段はあってもおかしくないです。

 色々な経済指標がありますが、ここではひとり当たりのGNI(国民総所得)を比べます。GNIとは、各国の国民(個人、企業など)が1年間などの一定期間に新たに受け取った所得の総額を示すもので、GNPに海外での所得を加えたものです。

 上述した10ヶ国のひとり当たりGNI(国民総所得)をランキングにすると以下のような順位となります(※2)。

1.アメリカ 9,444,115円
2.オーストラリア 8,687,770円
3.ドイツ 7,124,403円
4.イギリス 6,242,424円
5.フランス 6,134,543円
6.日本 5,545,406円
7.韓国 4,759,576円
8.中国 1,660,308円
9.メキシコ 1,341,287円
10.インド 301,685円

 日本ひとり当たりの総所得では6位になります。もし日本人の所得がアメリカ人並みなら映画館も同じくらいの値段でも割高だと感じないかもしれません。しかし、これだけ所得に差があるのに映画館の値段はほぼ一緒となると、日本の映画館は高いと感じるのは無理もないでしょう。

 日本人の平均所得が上がっていれば映画館の値段が上がっても納得できるものですが、過去30年あまり変化していないどころか、一般鑑賞料金が1800円になった90年代と比較すると下がっているので、相対的に映画館は割高になっています(※3)。

 アメリカの映画館も値上がりし続け、90年代には4ドル台(※4)だったのが2022年には10ドルを超えて倍以上になっていますが、平均所得も1990年の30,636ドルから70,784ドル(2021年)と倍以上になっているため、日本人ほど割高感を感じていないと考えられます(※5)

●映画館値上げでアニメへの依存が高まる?

 正直、これだけ割高感があると、映画館で観る映画を失敗したくないでしょうから、「どんな内容か知らないけど見てみよう」と行動する人は減ってしまってもおかしくありません。

 現在、日本の映画館では人気アニメの劇場版等の興行が圧倒的な強さを見せていて、オリジナル作品が苦戦する傾向にあります。映画館の鑑賞料金が上がれば、その傾向はますます顕著になることが予想されます。熱心なファンがいる長寿作品なら100円くらいの値上げで見る人は減らないでしょうが、原作もないオリジナルの作品を試しに見ようかと思う人が増えるかというと難しいでしょう。

 日本の映画市場は、アメリカ、中国に次ぐ3番目の規模です。しかし、これは興行収入ベースで見た場合のことで、観客動員ベースでは2017年のデータで9位に転落します(※6)。動員ベースだと韓国は世界5位ですが、コロナ前の2019年には年間2億2千万人も動員していて、日本の1億9491万人を超えています。韓国は、国民ひとり当たり年に4回も映画館に行っているのですから驚きです。

 値上げは、ある程度であれば仕方ないと筆者は受け止めています。一方で、映画館は一度の上映で観客が5人でも50人でもかかる経費はそれほど変化ないので、運営費が増えても観客動員が増えればカバーできるのです。観客動員を増やす努力として、映画館はどんなことをしているのか、一般の観客である私たちも関心を持って見ていく必要があるでしょう。

 ちなみに、イオンシネマは2019年に各社が値上げをした時も価格据え置きで、いまだに一般鑑賞料金1800円のエリアがほとんどです。地域によってはもっと安いところもあります。値上げせずに営業努力をしている映画館もありますので、選択肢のある人は、そういう映画館に積極的に足を運ぶのもいいのではないでしょうか。

※1:平均鑑賞料金の参照:
アメリカ:National Association of Theatre Owners 「STATE OF
THE CINEMA INDUSTRY」

オーストラリア:Screen Australia 「CINEMA INDUSTRY TRENDS」
日本:一般社団法人日本映画製作者連盟
イギリス:UK Cinema Association 「Average ticket price – 2000-2022」
フランス:ユニジャパン 「ALL_marketinfo2012-2021」
韓国:Yonhap News 「S. Korea’s average cost of movie ticket enters 10,000 won range for 1st time」
ドイツ、中国、メキシコ、インド:Statista

※2:GLOBAL NOTE 「世界の1人当たりGNI(国民総所得) 国別ランキング・推移」
※3:厚生労働省 「平均給与(実質)の推移(1年を通じて勤務した給与所得者)」
※4:National Association of Theatre Owners 「Annual Average U.S. Ticket Price」
※5:Statista 「Median household income in the United States from 1990 to 2021」
※6:GLOBAL NOTE 「世界の映画入場者数 国別ランキング・推移」

(杉本穂高)

【画像】興行収入100億円超えが続く劇場アニメ(5枚)

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