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いまや「ギャル」は王道ヒロインに? ラブコメ漫画で輝く彼女たちの魅力

「内面の魅力」と関係性の「ギャップ」

おしえて! ギャル子ちゃん 第1巻(KADOKAWA)
おしえて! ギャル子ちゃん 第1巻(KADOKAWA)

 ギャル系ラブコメブームの大きなきっかけとなったのは、2014年にスタートした『おしえて! ギャル子ちゃん』でしょう。ラブコメではなく、ギャル子ちゃんというキャラクターの日常を描いた作品なのですが、このギャル子ちゃんは現在のギャル系ヒロインの特徴が詰まっています。

 大きなポイントは“ギャップ”です。見た目は派手で遊びまくっていると思われるギャル子ちゃんですが、実は恋愛関係にはウブで、根は真面目。話せば純情で優しい子というキャラクターです。

 作品ごとに濃淡はあるものの、「実はピュア」というのは、現在のギャル系ヒロインの基本ともいえる特徴です。たとえば『その着せ替え人形は恋をする』のヒロイン・喜多川海夢(まりん)は、クラスでも目立つ人気者で、ナンパしてきた男をズバッと切り捨てるタイプですが、実は天然っぽかったり、気になる相手に純情な反応を見せたりします。

 また、『やんちゃギャルの安城さん』の安城さんは、気弱な主人公を下ネタなどで振り回す、エロ強めの奔放なヒロインですが、その反面、誰かれ構わず付き合っては別れるというようなタイプではないことがしっかり描かれます。

 そして、このようなキャラクター性のギャップ以上に大きいのが“関係性のギャップ”です。

『おしえて! ギャル子ちゃん』が登場したとき、マンガのレビューなどで知られるライター・たまごまご氏は、作品とギャル子ちゃんがスクールカーストから自由であることを指摘していました。

 ギャル子ちゃんはギャルですが、アニメも好きだし、オタクやお嬢様といった、いわばグループの違うと思われている子ととても仲がいいキャラクターです。ギャル子ちゃんとその世界観は、スクールカースト的な上下を飛び越え、いろんなタイプがごく当たり前に友だちとして成立しています。

 この「ギャル」の越境性は、2010年代のギャルヒロインブームの重要なポイントです。『その着せ替え人形は恋をする』や『やんちゃギャルの安城さん』でも、ヒロインであるギャルは人気者タイプですが、主人公の男の子たちは内向的で、どちらかといえばクラスで目立たないタイプ。かつてのステレオタイプでいえば、ギャルとはもっとも縁遠く、お互いに軽蔑し合っているイメージすらある関係です。そんなギャルと「陰キャ」が恋に落ちるというところに、ギャップがあるわけです。

【画像】「キモい」のか「好き」なのか? ギャルのヒロインと主人公の会話シーン(10枚)

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