あらゆる面で革命的! 初代『ガンダム』のリュウ・ホセイは「デブキャラ」の概念を変えた男
ロボットアニメの「デブキャラ」とリュウの違い

ところで、リュウの見た目は明らかに「デブキャラ」でした。それまでのロボットアニメには、いわゆる「デブキャラ」枠があったのです。列挙すると以下のようになります。
『マジンガーZ』(72年)のボス、『ゲッターロボ』(74年)の巴武蔵、『勇者ライディーン』(75年)の荒磯ダン、『ゲッターロボG』(75年)の車弁慶、『超電磁マシーン ボルテスV』(77年)の大次郎、『惑星ロボ ダンガードA』(77年)の荒井伴太、『未来ロボ ダルタニアス』(79年)の畑田之助などです。
アニメではありませんが、特撮『秘密戦隊ゴレンジャー』(75年)のキレンジャーも典型的なデブキャラでした。『ドラえもん』のジャイアンも国民的なデブキャラと言えると思います。
彼らの共通の特徴としては、太った見た目はもちろんですが、「大食漢で力持ち」「ドジ」「主人公をライバル視」「ヒロインに片思い」「粗暴でトラブルメーカー」「デベソ」「コメディリリーフ」などがあります(全員にすべての要素があてはまるわけではありません)。アニメのなかの類型的なキャラクターのひとつとして「デブキャラ」があったわけです。
『ガンダム』のリュウは見た目こそ「デブキャラ」でしたが、上記の特徴にひとつもあてはまりません(力持ちだったかもしれませんが、特に怪力が強調される描写はありませんでした)。
熱血漢の多かった主人公に内向的なアムロを置き、カイ、ハヤト、ブライト、セイラ、フラウ・ボゥ、ミライと、いずれも複雑な内面を持つキャラクターを登場させた『ガンダム』らしいキャラクターのひとりがリュウだったと言えるでしょう。なお、もともと富野由悠季監督(当時は喜幸)はリュウを黒人として考えていたそうです。
『ガンダム』の大ヒットの後、幼児向けアニメを除いて、いわゆる類型的な「デブキャラ」枠はなくなったように感じます。そこにいるのは単に太った見た目を持つキャラクターというだけであり、彼らは多様な特徴と内面を持たされるようになりました。『ガンダム』のリュウは「デブキャラ」の概念を変えた存在だったのです。
(大山くまお)



