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「脳灼かれる」見た人が叫ぶアイドルアニメ映画『トラペジウム』の話題が尽きないワケ

乃木坂46の1期生として活躍した高山一実さんによる小説をアニメ映画化した『トラペジウム』が、大きな話題を呼んでいます。作品の魅力に取り憑かれた人たちが、「脳を灼かれる」「こんな素敵な映画ないよ!」と叫ぶ理由はどこにあるのでしょうか?

性格の悪い主人公を切り捨てられない理由がある

2024年5月10日(金)から全国ロードショーされている映画『トラペジウム』場面カット  (C)2024「トラペジウム」製作委員会
2024年5月10日(金)から全国ロードショーされている映画『トラペジウム』場面カット  (C)2024「トラペジウム」製作委員会

 元乃木坂46の高山一実さんが執筆した、「アイドル」を題材にした同題小説をアニメ映画した『トラペジウム』は、連日X(旧Twitter)のトレンドに入っていました。5月10日の公開から4週目となった今なお、作品を語る人たちの熱は冷めておらず、多数のリピーターも生んでいます。

 その理由の筆頭は、主人公の女子高生「東(あずま)ゆう」の「性格が悪い」こと、いや、それ以上の複雑な魅力が彼女にあるからでしょう。

 劇中では、東ゆうは絶対にアイドルになるために(それ以外の理由でも)かわいい女の子たちに声をかけ、4人組のグループ「東西南北」でデビューして、あっという間に知名度を上げます。「目的のために誰かを利用してのし上がっていく」過程を取り出せば、アニメ「コードギアス」シリーズや実写映画『ナイトクローラー』も思い出すほどです。

 その東ゆうの夢は、「狂気」として現出します。「そんなのおかしいよ!」「こんな素敵な職業ないよ!」といったセリフとガンギマリの目のコンボは、下手なホラーよりも恐ろしいほどでした。

 それでも、東ゆうを「クズ」や「サイコパス」といった、短絡的なくくりでおさめることはできません。「初対面の女の子には敬語で話しかけるし、ちゃんと謝れるし、良い子じゃないか!」と感心する場面もあれば、「お前そういうとこだぞ」とやっぱりイヤな面を指摘したくもなりますし、「挫折を経験した上でガバガバな計画をたてているのが愛おしい」と思えもするからです。

 夢を狂気として現出させる様も、「自分の『好き』ばかりを肯定して他のことが見えていない」という、誰にでも(特にオタク気質な人にとっては)身に覚えがある過ちでしょう。そして、東ゆうに囚われた人たちが、「脳を灼かれる」「こんな素敵な映画ないよ!」「囚ペジウム」などと声をあげている、というわけです。

 ほかにも、個性的なアイドルグループ「東西南北」の女の子それぞれの内面や、彼女らが東ゆうが好きだと分かる心理描写、「頸動脈をおさえる仕草」「風見鶏やコンパス」「電車から降りる/乗る」といった言葉に頼らない演出、「エピソード0」でもあるオープニング映像など、何度見ても新しい発見がある、考察がはかどる作り込みもされています。

『トラペジウム』は「ささった」人には毎日のように語りたくなり、強烈なインパクトのある劇薬映画かと思いきや、噛むほどに味が出る「スルメ映画」でもあります。気に入った方は、Xの「#細かすぎて伝わらないトラペジウムの好きなシーン(ネタバレ注意)」のハッシュタグの投稿を見るなどして、さらに沼にハマってみてください。

(ヒナタカ)

【画像】え…っ? 気付いた? これが『トラペジウム』本編に出ていた「原作者と元乃木坂メンバー」と、演じたキャラです(4枚)

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