マグミクス | manga * anime * game

4に不満ある人こそ『トイ・ストーリー5』を観て!ウッディの物語の締めくくりに「意味・意義があった」と言える理由

ピクサー映画『トイ・ストーリー5』は、2019年の『4』の先にある「おもちゃの幸せ」を、ジェシーが主人公の物語で描き切っていました。

新登場のデジタルデバイスの役割は?

アニメ映画『トイ・ストーリー5』ポスタービジュアル (C)Disney/Pixar
アニメ映画『トイ・ストーリー5』ポスタービジュアル (C)Disney/Pixar

 2026年7月3日(金)、『トイ・ストーリー5』が劇場公開され、同日に「金曜ロードショー」で『トイ・ストーリー4』が放送となります。 今回の『5』はいち早く鑑賞した人から 「過去作のファンを裏切らない」「『5』は『4』のモヤモヤ感を払拭させてくれる」「『4』の賛否の心配を全て吹き飛ばす名作」など、「『4』が賛否両論を呼んだけど、今度は安心して観てほしい」という趣旨の声が相次いでいました。

 ただ、『5』は決して『4』をなかったことにしていない、それでいてシリーズの根幹となる「おもちゃの幸福」および「まだ描かれていないこと」にも全力で向き合った、素晴らしい作品だったと言えます。まとめていきましょう。

※以下、『トイ・ストーリー4』の結末を含むネタバレに触れています。また、『5』の決定的なネタバレは避けつつも、中盤の重大な展開を記しています。

●『5』のボニーは、まだジェシーとブルズアイを大切にしていた

『4』で特に批判が寄せられたのは、『3』で「アンディ」からおもちゃを貰った少女「ボニー」が、早々にカウボーイ人形の「ウッディ」を大切にしなくなったことと、ウッディが最終的にスペースレンジャーのおもちゃ「バズ・ライトイヤー」たちと別れる決断をしたことです。

 特に前者に関しては、元々の持ち主・アンディからの「みんなのことを大事にする」という約束が破られてしまった、『3』感動的なラストが台無しになった、ボニーが嫌いになってしまった、という声があがるのも無理からぬことでしょう。

 しかし、『5』でのボニーはカウガールの「ジェシー」と馬の「ブルズアイ」を、これから友達になれるかもしれない子供の家にまで持っていこうとするほど、お守りのように大切にしています。

 ひょっとすると、女の子のボニーはウッディには興味をなくしてはいたけれど、同性の人形であるジェシー(とその馬のブルズアイ)には自分を重ねて、まだ大切にしていたのかも……とも解釈できるでしょう。

 余計にウッディがかわいそうに思う人もいるでしょうが、だからこそ『4』のラストでウッディが持ち主を持たずに自由に生きる選択をしたのも間違ってはいなかったと思えますし、「子供のおもちゃの好き嫌いはそんなもの」と割り切ることはできるとは思うのです。

●新たに登場するデジタルデバイスもボニーの幸せを願っている

 そして重要なのは『5』がジェシーたちおもちゃが力を合わせて「ボニーの幸せ」に全力で向き合う物語になっていることです。物語の発端は「持ち主であるボニーに友達がいないこと」で、心配したジェシーたちは彼女に友達ができるように行動を起こします。

 本作の予告では、新キャラの両親が買い与えたデジタルパッドの「リリー・パッド」が、ジェシーたちの「敵」のようにも見えました。たしかにリリー・パッドは、アプリゲームなどでボニーを「支配」していくかのようにも描かれています。さらに、ジェシーが隣の家の庭に捨てられたおもちゃから、「おもちゃは終わりだ」と警告を受ける場面もありました。

 しかし、『5』は「デジタルデバイスVS昔ながらのアナログなおもちゃ」という、単純な構図では終わりません。まず、リリー・パッドもまた、ボニーに友達ができることを望んでいます。さらに、ボニーはリリー・パッドを使って、友達になりたい子供たちとコミュニケーションを取ろうとするのですが、そこでボニーにとって、とても悲しい出来事が起こってしまいます。

『2』や『3』で提示された「子供たちはいずれおもちゃたちを必要としなくなる」という事実に加えて、今回の『5』では「デジタルデバイスを介したコミュニケーションで子供が深く傷ついてしまうこともある」という現実も、容赦なく見せているのです。

●ジェシーが主人公の物語だった

 それからの展開は秘密にしておきますが、『5』がジェシーやバズという昔ながらのおもちゃ、今回からの新キャラクターであるトイレトレーニング用のデジタルおもちゃの「スマーティ・パンツ」、さらには最先端のデジタルデバイスのリリー・パッド、そして冒頭から登場していた謎の「自分たちをスペースレンジャーだと信じて行動しているバズ集団」に至るまで、それぞれの特徴を持つおもちゃの行動や特徴を肯定していく物語になっていくことは、記しておきましょう。

 そのおもちゃの行動の幅広さは、以前と比べても「どこかで誰かに目撃されるのでは?」と思ってしまうほど大胆になっており、ここは一定の賛否も呼ぶかもしれません。しかし、『4』で「自由にどこかで生きているおもちゃ」という概念が提示されていたからこそ、特にバズ集団の行動にはある程度の説得力があがっていると思うのです。

 また、今回のウッディは予告編の時点で「なぜ戻ってきたの?」と疑問が寄せられていましたが、実際の本編では「ジェシーは本来バズを呼んでいたのだけど、それを自分だと勘違いしてやってきた」という形で合流していました。役割としても、バズに助言をしたり衝突したりする、「助っ人」「脇役」的な立場にとどまっています。そこにも賛否はありそうですが、筆者は納得できました。

 なぜなら、今回は完全に「ジェシーが主人公」であり、「ジェシーの物語を完結させる」ことこそが、主題だと思えたからです。ジェシーに協力するおもちゃたちの行動も重要でしたし、さらに『2』で描かれたジェシーの悲しい過去を踏まえた「おもちゃにとっての幸せ」の提示には、身震いするほどの感動がありました。

『4』はウッディが主人公の物語を、ある種の居心地の悪さや苦々しさを多分に含む、意外な形で完結させたために、賛否を呼んだ作品です。続く『5』は(ほんの少しの苦々しさも含みつつ)、ジェシーの物語に最高のハッピーエンドを用意したともいえます。それらを総括して、やはり『トイ・ストーリー』シリーズは「おもちゃにとっての幸せを問い続ける」作品だと言えるでしょう。

(ヒナタカ)

【画像】え、「ウッディ完全に脇役じゃね?」「日本版と全然違う」コチラが「ジェシーが中心」になってる『トイ・ストーリー5』アメリカ版ポスターです

画像ギャラリー

ヒナタカ

映画ライター。WEB媒体「All About ニュース」「ねとらぼ」「女子SPA!」「NiEW(ニュー)」、紙媒体「月刊総務」などで記事を執筆中。オールタイムベスト映画は『アイの歌声を聴かせて』。

Xアカウント:https://x.com/HinatakaJeF

ヒナタカ関連記事

もっと見る

編集部おすすめ記事

アニメ最新記事

アニメの記事をもっと見る