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「佐藤二朗とムロツヨシ不在(?)」の実写『SAKAMOTO DAYS』は福田雄一の最高傑作? 明らかな変化・残ってる”らしさ”とは

目黒蓮主演の実写映画『SAKAMOTO DAYS』は良作との声が多数ありましたが、やはり賛否を呼ぶ要素も見られました。

しつこいギャグも物語の流れには沿っている

実写映画『SAKAMOTO DAYS』キービジュアル (C)鈴木祐斗/集英社 (C)2026映画「SAKAMOTO DAYS」製作委員会
実写映画『SAKAMOTO DAYS』キービジュアル (C)鈴木祐斗/集英社 (C)2026映画「SAKAMOTO DAYS」製作委員会

 4月29日(水)より、鈴木祐斗さんの人気コミックを実写映画化した『SAKAMOTO DAYS』が公開されています。メガホンを取った福田雄一監督は「ギャグがしつこい」「作品を私物化しがち」などの理由で映画ファンや原作ファンから批判が出ることもありましたが、今回はなかなか好評です。

 レビューサイトでは映画.comとFilmarksでともに3.8点(4月30日時点)で、SNSでも「福田監督のいつもの悪い癖は控えめで、今作は割と手堅くまとめていた」「漫画実写化のなかでは良作なんじゃないかな?」「原作の雰囲気がしっかり出ていて良かった」など、「悪くない」という感想が多く見受けられます。

 上映前の舞台挨拶で福田監督は「福田組の最高傑作を目指した」と宣言しており、たしかにそう自負するのも納得できる内容になってはいました。ただ、やはり福田監督らしい、人によって好き嫌いが分かれる要素も残っているのも事実です。

※以下、実写映画版『SAKAMOTO DAYS』の一部ネタバレ触れています。

●『アンダーニンジャ』に続き「スピーディなアクション」「原作のまとめ方」は良質

 結論から言えば、近年の福田監督作では比較的高評価だった『アンダーニンジャ』(2025年)に近いバランスの作品になっており、キャストがみんなハマっていて、アクションは良質で、原作のまとめ方も的確で、ギャグの数もそれほど多くないため、多くの人に受け入れられる内容になっていたのではないでしょうか。

 何よりの美点は、『アンダーニンジャ』に続きアクション監督の田渕景也さんが手がけた、スピーディーでアクロバティックなバトルの数々です。ロケーションもVFXも実写化のハードルが高かったであろう、遊園地(ロケ地は富士急ハイランド)での「ジェットコースター」や「お化け屋敷」でのバトルも、可能な限り再現されている印象でした。ここぞという時のスローの使い方も的確で、クライマックスはギミックの多さも含めて楽しめます。

 エンドロールでは何十人ものスタントマンの方々の名前が確認でき、その苦労と努力が報われたといえるでしょう。アクションのシチュエーションは荒唐無稽ではありますが、生身の人間が演じてこその緊張感や躍動感が味わえるのは、実写ならではの魅力です。

 さらに、原作からエピソードの時系列の変更や取捨選択がありました。「坂本太郎(演:目黒蓮)」がかなり早い段階で痩せた姿を見せること、「陸少糖(ルーシャオタン/演:横田真悠)」が初めから坂本商店の店員になっている(その背景はちゃんと説明される)こと、スナイパー「眞霜平助(演:戸塚純貴)」を助っ人的な立場に止めている、坂本の殺し屋としての同期「南雲(演:北村匠海)」がランドセル争奪戦の時にやってくる、といった改変には賛否もありますが、個人的には2時間の映画のなかでタイトにエピソードをまとめるためには、いずれも的確な判断だと思いましました。

 物語全体の印象も、坂本の相棒となる「朝倉シン(演:高橋文哉)」の過去を軸に原作の見どころを上手く絡めていて、一気に観る映画としての盛り上がりどころも計算されており、良質なものでした。

●福田雄一監督からおふざけを止めようともしていた

 一方で、やはりあったコント的なギャグや、誇張ぎみの演技演出の多くは、原作にない、もしくはアレンジしたもので、「余計」に感じる人はいるでしょう。

 ただ、今回は福田監督らしいギャグのシチュエーションも「よくこんな時に◯◯できますね」と悪役側にツッコまれたり、あり得ないアクションに「物理学的にあり得ないでしょ」と言われたりといった物語の流れに沿ったもののため、素直に笑える人も多いのではないでしょうか。

 何より、目黒蓮さん演じる坂本の「普段は生真面目だからこそのとぼけた時のギャップ」は面白かったですし、上戸彩さん演じる妻「坂本葵」が遊園地で「みんなを叱る」場面では、「正座をさせる」という原作からのアレンジも良い塩梅で楽しめました。

 印象的だったのは、公開初日の上映前の舞台挨拶で、眞霜役の戸塚純貴さんが大事な場面でもふざけようとしていたため、福田監督が止めたと明言していたことです。意外といっては失礼ですが、福田監督が余計なおふざけを俳優に許していないことが分かって感心しましたし、その舞台挨拶で(これまでも福田監督作によく出演していた)戸塚さんが「あんたが育てたんだよ!」と”逆ギレ”をかましたのは笑ってしまいました。

 それでも以前のように残っていたのは「コント的な効果音を入れる」という演出です。軽く足蹴にするだけのシーンでも「ボコッ」「ドカッ」と音が鳴り、サムズアップをする場面では「キュピーン」と聞こえるなど、映画的ではない演出に感じてしまいます。そこは余計な音など入れないほうが、生身の俳優が演じる面白みが増すのではないでしょうか。

 とはいえ、それらのギャグの好みは千差万別であり、実際に劇場内ではかなり笑い声が漏れていたのも事実です。ギャグのトーンは『アンダーニンジャ』の時のように原作と大きく乖離しているわけではなく、数も控えめで全体的にテンポが良いので、やはり福田監督作の中では比較的受け入れられやすいと思えるのです。

●やっぱり佐藤二朗とムロツヨシは出演していた。でも好評?

 また、本作は福田監督作に欠かさず出演している佐藤二朗さんとムロツヨシさんが、公開前のキャストクレジットにいないことが話題になっていました。ただ、実際はふたりとも出番は長くはないものの、ある役ではっきりと顔を出しています。

 しかしながら、SNSの反応を見ると「佐藤二朗とムロツヨシは出てくるんだろうなぁと思ってたら予想通りで草w」「ちょい役で出演、つい笑ったわ」「使い方が贅沢すぎる」などと、なかなか好評の様子です。ふたりともあくまで「日常をかき乱す」程度の役回りで、原作のメインキャラクターの特徴を変えてまで無理やり出演させているわけではないので、こちらも今まで言われてきたほどほどノイズにならず、多くの人が許容できているのではないでしょうか。

 実写版『SAKAMOTO DAYS』は好評の理由が納得できる、原作ファンにも原作を知らないまま単純明快なエンタメを求める人にも、素直におすすめできる内容でした。福田監督は6月26日公開予定のアニメ映画『新劇場版☆ケロロ軍曹 復活して速攻地球滅亡の危機であります!』でも脚本・総監督を務めているので、こちらも期待しています。

映画『SAKAMOTO DAYS』あらすじ

「史上最強」と言われた殺し屋、坂本太郎。ある日、彼は恋に落ちた―そして、あっさり殺し屋引退!

 結婚、娘の誕生を経て、街の個人商店の店長となった坂本は、かつての面影が無いほどに……太った!!だが、そんな彼の首に突如、10億円の懸賞金が掛けられ、世界中から刺客が集結する―。

「見た目は変わった―。だけど、強さは変わらない」規格外なヒーローが愛する家族と平和な日常を守るため、かつての部下であり、今は相棒となった心を読むエスパー・シンと共に、迫りくる悪党に挑む!!

(ヒナタカ)

【画像】え、「並んでも似てるな」「かっこよすぎ」 コチラが原作と実写(目黒蓮)の坂本太郎の2ショット姿です

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ヒナタカ

映画ライター。WEB媒体「All About ニュース」「ねとらぼ」「女子SPA!」「NiEW(ニュー)」、紙媒体「月刊総務」などで記事を執筆中。オールタイムベスト映画は『アイの歌声を聴かせて』。

Xアカウント:https://x.com/HinatakaJeF

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