『ガンダム』連邦軍MSの「水泳部」なぜジオンと比べてマイナーなのか もっともなワケ
ジオン軍の水陸両用MSは、その個性豊かな形状でよく知られています。もちろん連邦軍にも水陸両用MSは存在しますが、種類は多くありません。そこには連邦とジオンの海に対する考え方の違いがありました。
ジオン水泳部に負けない連邦の水陸両用MSたち

ファンから「ジオン水泳部」の愛称で親しまれている「ジオン公国軍」の「水陸両用MS(モビルスーツ)」、独特の形状が人気の秘密でしょうか。しかし、水陸両用MSは何もジオンの独壇場ではありません。種類では劣りますが、「地球連邦軍」にも粒ぞろいの水陸両用MSたちがいました。
連邦軍初の水陸両用MSが「RAG-79 アクア・ジム」です。ジオンの水陸両用MSに対抗するため、「RGM-79 ジム」をベースに急遽、開発した機体でした。メカニックデザイン企画「M-MSV」で初登場、アニメでは『機動戦士ガンダムUC』に登場しています。
このアクア・ジムをベースに、エース用にチューニングを施した機体が「RAG-79-G1 水中型ガンダム」でした。頭部はガンダムになっていますが、型式番号を見ると分かる通り、実はジムのカテゴリーとなっています。アクア・ジムと同じく「M-MSV」が初出でした。
水中型ガンダムの別称として使われているものに、「ガンダイバー」という名前があります。これはあくまでも別称というのが通例でしょうか。なぜならガンダイバーという名前を持ったガンダムが2種類ほどいるからです。
そのひとつが『SDコマンド戦記 G-ARMS』などに登場する「GDV-178 ガンダイバー」で、「RX-178 ガンダムMk-II」をベースにしたSDキャラクターになります。世代の人たちには一番知名度の高いガンダイバーでしょうか。
もうひとつがアニメ『SDガンダムフォース』に登場した「ガンダイバー」で、こちらは「RGZ-91 リ・ガズィ」がベースのSDキャラクターでした。ちなみにアニメ『ガンダムビルドダイバーズ』では、「GBN」のゲームマスター「カツラギ」のアバターとして使用されています。
アクア・ジムとはまた別に、水中に対応した機体として開発されたのが「RGM-79U ジム・スループ」でした。メカニックデザイン企画「MSV-R」が初出です。
「RB-79 ボール」をベースにした機体もいくつかありました。マンガ『機動戦士ガンダム MS IGLOO 603』(著:MEIMU/原作:矢立肇、富野由悠季/KADOKAWA)などに登場した「RB-79N フィッシュアイ」、メカニックデザイン企画「F.M.S.」が初出の「RMB-79 フロッグ・ボール」などです。
そして「一年戦争」終結後の連邦軍が開発した水陸両用MSは、いずれも「MS-06 ザクII」をベースにした改良機でした。
そのひとつが『機動戦士Zガンダム』に登場した、「RX-106M(MS-06M) マリン・ハイザック」です。外見は一年戦争時にジオンが開発した「MS-06M ザク・マリンタイプ」と変わりませんが、全天周囲モニターやリニアシートを導入して性能が向上しています。
異なる設定がいくつかありますが、ザクIIのパーツを流用しながらも「RMS-106 ハイザック」の系譜の機体として完成したという形でしょうか。いずれにしても少数が量産されていたようです。
『機動戦士ガンダムZZ』や『機動戦士ガンダムUC』に登場したのが、「RMS-192M ザク・マリナー」で、ザク・マリンタイプをベースに開発され、より原型機のザクIIに近い外見となりました。皮肉にもアニメ登場時は、いずれもジオン側に奪取されて使用されています。
「ZZ-MSV」に分類されているのが「RMS-188MD ザク・ダイバー」です。他の機体と運用目的が少々異なり、深海作業用に開発されて潜航能力に特化した機体となりました。ザク・マリナー同様「ジャブロー」で開発したという設定です。
こうして並べていくと、ジオン水泳部に比べて連邦軍は平凡なラインナップといえるでしょう。それはなぜか、探っていくと、そこに連邦軍の海洋戦略が透けて見えてきました。