マグミクス | manga * anime * game

「ガンダム」の破壊者『Gガン』東方不敗マスター・アジア没後30年 なぜ途中で退場?

マスター・アジアがドモンと敵対した本当のワケ

「ゴッドガンダム」をモチーフにした『機動武闘伝Gガンダム』30周年ロゴ (C)創通・サンライズ
「ゴッドガンダム」をモチーフにした『機動武闘伝Gガンダム』30周年ロゴ (C)創通・サンライズ

 マスター・アジアの行動は『Gガンダム』という作品の謎のひとつでした。それゆえに第45話で事実が明らかにされた時、それまでの不可解な行動の真意がわかります。

 それは地球環境を考えて人類抹殺を企てるというもので、「ガンダム」シリーズで時おり出てくるテーマが『Gガンダム』にも生かされていたわけです。そのため、マスター・アジアは「デビルガンダム」の生体コアとしてドモンを鍛えていました。

 もっとも、これはひとつの見方でしかありません。マスター・アジアの行動を見ていくと、ドモンを鍛えることで自分を超える存在としたかった可能性の方が強かったように思えます。もしも自分の間違いを指摘できるほどにドモンが成長したなら、討たれてもよいと考えていたのでしょう。

 それゆえにドモンから「人類も天然自然のひとつ」「人類を抹殺しての理想郷など愚の骨頂」と言葉を返された時、潔く自分の最期を受け入れたように思えました。そして、だからこそ膝をつきかけたドモンに、「そんなことでは悪党のワシを倒せんぞ!」と叱咤するわけです。

 敵となってもなお弟子を育てることに真摯だったマスター・アジア、その壮絶なまでの生きざまが多くの人の心を打ったのでしょう。それゆえに、その最期は美しくも悲しいものでした。

『Gガンダム』の監督である今川泰宏さんが第45話の絵コンテを仕上げた時、思わず「完」という一文字を入れてしまったというエピソードが有名です。今川さんも自分で作ったキャラクターながら、マスター・アジアの生きざまに共感したのでしょう。

 その思いの強さから自らの暴走を止められなかった師匠と、成長しながらもその思いに気づいた時には決着をつけることしかできなかった弟子の物語、その悲劇の関係が『Gガンダム』の大きなテーマでした。

 そうした展開ゆえに、ハッピーエンドというわけにはいきません。ゆえに『Gガンダム』は、ハッピーエンドたる別の「決着」を用意したわけです。それが最終回となる第49話「G(ゴッド)ガンダム大勝利! 希望の未来へレディ・ゴーッ!!」でした。

 そしてこの最終回も、「ガンダム」シリーズでも屈指のエピソードとなるわけですから、『Gガンダム』という作品を名作と呼ぶ人が多いのもわかるというものでしょう。

(加々美利治)

【ツッコミは負け】こちら常識をぶち壊す東方不敗マスター・アジアの乗機です(6枚)

画像ギャラリー

1 2