『Gガンダム』最終回から30年 視聴者のド胆を抜いた語り継がれる伝説の名シーン
今川総監督が用意した伝説の名シーンとは

余談ですが、『Gガンダム』の最終決戦では宇宙世紀に活躍した歴代のガンダムがカメオ出演していることで知られています。ロケットにしがみついて宇宙に出ようとする「RX-78 ガンダム」や、多くのMF(モビルファイター)に混じって「F91」や「GP01fb」などが確認できました。
このほかにも次番組『新機動戦記ガンダムW』から「ウイングガンダム」の姿もあります。いわゆる作画上の「お遊び」に寛容だった時代であり、何でもありな『Gガンダム』だから許されたことなのでしょう。こういった部分も最終回を盛り上げました。
前述したように、最終回の見どころは「ドモンがいかにしてレインを救出するか」と、「不死身のデビルガンダムをどうやって倒すか」だったといえるでしょう。このふたつの見どころを、視聴者の度胆を抜く形で見せてくれたのが『Gガンダム』最終回でした。
心を閉ざしたレインを解放するため、仲間の力を借りてデビルガンダムに対峙するところまでたどり着いたドモンは、最初こそ珍しく淡々と語っていたものの、最後に「お前が好きだ!」「お前が欲しい!」というド直球の言葉でレインの心を開くことに成功します。
この部分の関さんの演技もさることながら、作画も最高レベルのものでした。ドモンの言葉で徐々にデビルガンダムのコクピットが開いていき、一気に生まれ変わったかのようにレインが飛び出してくるさまは、「ガンダム」シリーズのなかでも屈指の名シーンではないでしょうか。
そしてその後、レインを失ったデビルガンダムにとどめを刺すわけですが、ここでも予想外の展開が視聴者の度胆を抜きました。
ドモンとレインは踊るようにポーズを決めると、初披露となる「石破(せきは)ラブラブ天驚拳(てんきょうけん)」を繰り出します。しかも、キング・オブ・ハート(シャッフル同盟の称号。最終決戦時点でドモンが継承している)の紋章から初代キング・オブ・ハートが出現、ハート形の風穴をデビルガンダムに残すという予想外過ぎる超必殺技でした。
この数分あまりの展開が『Gガンダム』最終回最大の見どころだったと思います。そして、このハッピーエンドの展開はファンも予想していたでしょうが、こんな映像で見せられるとは誰も思わなかったに違いありません。
後年、このシーンは話題となることが多く、ファンなら誰もが知っていると思います。しかし、もっとも興奮したのは初見だけだったかもしれません。もちろん何度見てもいいシーンだと思います。
ちなみに今川総監督が書き下ろした小説「機動武闘伝Gガンダム外伝 The East is Burning Red」では、この最終回の12年後の世界が描かれていました。前述した前代未聞のプロポーズは、やはり世界中に見られてしまったようです。
筆者は、この最終回を「ガンダム」シリーズでも異端だと思っています。なぜなら「ガンダム」シリーズは基本的に人間と人間の主義主張の戦いで、最後は敵役の敗北で幕を閉じることになるものだからです。
『Gガンダム』はデビルガンダムというラスボスを配置したことで、そういった人同士の主義主張争いの部分を排除した最終回となりました。さまざまな考え方はあるでしょうが、人間同士の争いが最後の戦いにならなかったことが、『Gガンダム』の最終回をよりハッピーエンドに見せたのかもしれません。
(加々美利治)


